鹿児島市の児童相談所の整備予定地。写真左の建物は鹿児島南特別支援学校=同市西谷山2丁目
鹿児島市が県農業試験場跡地(西谷山2丁目)に2028年4月新設する児童相談所(児相)の施設概要がまとまった。待合ホールに個室ブースを設けるなど相談者や児童のプライバシーを確保した上で、児童虐待や子育て相談への対応強化や支援の充実を図る。
鹿児島南特別支援学校と海上保安庁職員の宿舎予定地に隣接する敷地(6663平方メートル)に建設する。延べ床面積約4500平方メートルの2階建てで、1階に児相、2階には虐待を受けた子どもを保護する一時保護所が入る。
市によると、児相は相談室8室、児童の発達や性格を観察する心理検査室・相談室9室を備える。待合ホールには個室ブースのほか、授乳室やプレールームも準備し、相談に訪れやすい環境を整える。一般来庁者と職員、一時保護関係者用とそれぞれに入り口を設け動線を別にする。
一時保護所の定員は男女各7人、幼児6人の計20人。居住エリアは個別の居室やラウンジ、風呂トイレを集約、共有エリアに学習室や食堂、面接室を置く。
感染症やLGBTなど配慮が必要な児童に対応するエリアも設け、家庭生活を疑似体験する「親子訓練室」、体育館もつくる。保護児童が使うグラウンドは外部から見えないよう高さ3メートルのフェンスを設置する。
23年度に実施した整備候補地の比較検討で示された建設費用は24億円。近年の資材高騰などの影響で上昇が予想され、費用の詳細は今後固まる見通し。市児相準備室の幸福崇室長は「児童の安全やプライバシー保護を第一に、誰もが子育ての悩みや不安を気軽に相談できる施設を目指したい」と話す。