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教職員の不祥事が後を絶たない。鹿児島県教育委員会の懲戒処分は昨年度、過去最多の28件に上り、本年度は減少傾向にあるが、8カ月足らずで2桁に達した。どうすれば防げるのか。14日、鹿児島市であった県小・中学校長研究大会の参加者に聞くと、「自分ごと」というキーワードが浮かび上がった。
「人としてあってはならない」。母間小(徳之島町)の山本克久校長(57)は、相次ぐ処分を残念がる。「『自分ごととして受け止めて』と繰り返し指導している。煙たがられるかもしれないが管理職の使命」と気を引き締める。
別の小学校の男性校長(60)は、管理職による指導に限界を感じ、現場が主導する「ボトムアップ研修」を取り入れた。「自分たちの提案なら、わがこととして考えられそう」との狙いからだ。中学校の男性校長(54)も「どうすれば自分の問題として落とし込んでもらえるか」と模索する。
本年度の懲戒処分11件の内容は、体罰・不適切指導が3件、SNSで生徒に好意を伝えた行為2件、酒気帯び運転2件など。うち1件は校長が処分された。
東郷学園義務教育学校(薩摩川内市)のウォルターズかおり校長(54)は「教員として働ける感謝と、あるべき姿を自分の中に持つことが大事。教員同士が支え合える組織力も高めていきたい」と話した。
県教委は、鹿児島大の識者らと共同開発した研修教材を周知し、教員同士の意見交換を後押しする。中島靖治教職員課長は「相談や指摘しやすい職場の雰囲気が、人ごとと思わず、認識のズレに気づくための鍵になる」と話した。