名山小学校で開かれた日本語教室の公開授業=10月31日、鹿児島市
働く外国人らが日本語を学べる教室がない「空白地域」が、鹿児島県内の自治体で58.1%に上ることが、文部科学省の調査で分かった。全国は38.2%で、都道府県別では沖縄の80.5%が最も高く、鹿児島は8番目。最も低いのは兵庫の0%だった。県内の空白地域に暮らす在留外国人は4168人に上り、教育環境の整備が急務となっている。
文科省が10月末、2024年11月1日時点の日本語教育実態調査結果を公表した。基本的に留学生を受け入れている大学などの教育機関を除き、日本語教育の実施が確認できなかった市区町村を「空白地域」とした。
県内43市町村のうち、25自治体が空白地域だった。うち1カ所は、外国人比率が平均以上だった。
大学などを含めた日本語教育実施機関・施設は県内に21カ所あり、教師数は計131人。1065人が学んでいる。うち、働く外国人やその家族らが学べる施設・団体は10カ所で、教師は65人。教育を受けるのは287人にとどまる。
労働力不足などを背景に、外国人材の受け入れは全国で進んでいる。出入国在留管理庁と鹿児島県によると、県内の在留外国人数は25年6月末時点で最多の2万32人。この5年で約8000人増えた。在留資格別では、技能実習が最も多く7218人、特定技能が5013人と続く。
文科省日本語教育課は、「日本語能力が不十分であることで排除されないようにするために、コミュニケーション手段である日本語を習得できる体制整備が必要」と強調。空白地域の解消に向けて、専門家の派遣、ICTを活用して独学でも学べる動画の提供などを進める。