科学研究、属性で不利に? 女性かつ非英語圏、低所得国で

2025/09/19 03:00
 研究者の属性と論文本数への影響
 研究者の属性と論文本数への影響
 科学研究で有利な英語圏・先進国の男性に比べると、女性であるだけで英語論文は最大45%も少ないとする分析を、オーストラリア・クイーンズランド大の天野達也准教授(保全科学)らのチームが18日、科学誌プロスバイオロジーに発表した。女性かつ非英語話者だと最大60%、さらに低所得国出身だと最大70%も論文が少なかった。

 女性は特にキャリア初期で不利だった。男性と比べ育児などに時間が取られ、共同研究にも参加しにくいといった事情が影響しているようだ。英語での発信が重視される中、非英語話者は研究に余分な時間や労力がかかり、論文も採用されにくいとの報告がある。低所得国の研究者は国際学会に参加するにもビザが取りづらい、研究資金が少ないなどの困難があるとチームはみている。

 今回は環境科学分野の研究者に限った調査だが、天野さんは「これをきっかけに他の分野でも同様の研究をしていくことが必要だ」と訴えた。

 調査は日本や英国のほか、スペインやバングラデシュなど、英語のレベルや所得水準が異なる8カ国の908人に実施した。

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