64歳・田原俊彦が東京国際フォーラムで圧巻パフォーマンス
9月30日、田原俊彦の全国ツアー『TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE “T” TOUR 2025 Dance with KING of IDOL 踊るパワースポット!』の東京公演が、東京国際フォーラム ホールAで開催された。2021年の『還暦記念ライブ』以来4年ぶりとなる同会場での凱旋ステージとなり、約5000枚のチケットは完売。64歳となった田原がフルバンドとダンサーを従えて、「哀愁でいと」「原宿キッス」「抱きしめてTONIGHT」など往年のヒット曲から最新曲までを歌い踊った。
【ライブ写真】笑顔のトシちゃん!東京国際フォーラム公演の模様
田原は毎回、自らセットリストを組み立てており、予想外の選曲で幕を開けるのが特徴。この日もシングルA面ではない楽曲からスタートし、2曲目には1982年の「原宿キッス」を披露した。1980年代に親衛隊と呼ばれたファン文化を反映し、会場にはコールの文字がスクリーンに表示された。観客は世代を問わず一体となり、当時を知らない人も一瞬で“親衛隊の気分”にスイッチが入った。
その後も、3曲目に1989年の「ごめんよ涙」、4曲目に2023年の「ダンディライオン」を続け、昭和、平成、令和の楽曲をシームレスにつなぐ構成で展開。7曲目には“必ず歌う曲”のひとつ「ジャングルJungle」が披露され、高難度の振付を年齢を重ねた身体でさりげなく踊り切る場面が見どころとなった。会場では田原が「元気ですか〜」と投げかけ、観客から「元気〜!」と返されるなど、MCでも盛り上がりが途切れなかった。
中盤では「拡散祭り」と呼ばれるスマホ撮影、SNS投稿OKの演出が、この日は“ゆっくり観てほしい”との意図で非実施に。ブルーのダブルジャケットとワイドパンツに着替えて再登場した田原は、全8曲のシングルメドレーを展開し、「哀愁でいと」「ハッとして! Good」「恋=Do!」といったデビュー初期の代表曲を畳みかけた。「チャールストンにはまだ早い」では、ジャズ風のアレンジと長い間奏のなか、タフなステップを軽やかに踏み切り、息を切らさずに2コーラス目へと進んだ。
ところどころには観客へのエールや昭和的ギャグ、自虐ネタ、「ハハハハハッ」という笑い、感謝の言葉を交えたMCもあり、ファンはそのお約束感を楽しんだ。
ライブ後半、14曲目にはサプライズが仕掛けられていた。白の上下に黒いシースルーのドレッシーな衣装で現れた田原は、ステージ上部の階段に腰を下ろし、スモークのなかで“ある楽曲”を伸びやかに歌い上げた。ごく初期から応援していたファンに向けた一曲で、背後の大型スクリーンには特別な映像が映し出された。
16曲目には「抱きしめてTONIGHT」が披露され、冒頭のハイキックや円を描くムーンウォークなど、田原のダンススキルが凝縮された構成を見せた。リリース当時は27歳、そして現在は64歳。その動きに衰えはなく、むしろ精度を増して更新されていた。
本編のラスト、19曲目は最新シングル「LIFE IS A CARNIVAL」。この楽曲では、ファンから公募した言葉をもとに公式コールが制作され、イントロとともにスクリーンに表示された。フレーズには「踊る門には福来たる」「いいね!一緒にカーニバル」「トシが私のパワースポット」「手加減無しのやり過ぎ王子」などが並んだ。
アンコールでは、赤いパンツと黒いTシャツ姿で再登場。「ラブ・シュプール」を歌いながらセグウェイで舞台を駆け回り、さらに客席に飛び込んで全力疾走で締めくくった。