『トロン:アレス』(10月10日より日米同時公開)ワールドプレミア開催 (C)2025 Getty Images/Getty Images for Disney
世界初の本格CG長編として1982年に誕生し、映像技術の歴史を塗り替えた伝説の映画『トロン』。その最新作となる『トロン:アレス』が、今週10日より日米同時公開される。公開に先立ち、米ロサンゼルスで現地時間6日にワールドプレミアが開催された。
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プレミアの会場となったのは、ハリウッドの中心に位置するブルーバード。会場は映画の世界観をイメージした“真っ赤”な光に包まれ、公開を心待ちにしていた観客が集結。ジャレッド・レト、ジェフ・ブリッジスらキャスト陣に加え、音楽を担当したナイン・インチ・ネイルズ(NIN)も登場し、完成を祝った。
■ヨアヒム・ローニング監督「この映画は“体で感じる作品”」
メガホンをとったのは、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017年)、『マレフィセント2』(19年)などで知られるヨアヒム・ローニング監督。「この映画の完成まで、3年かかりました。バンクーバーで、週6日、夜遅くまで撮影して、もうヘトヘトになって……。でも、こうしてプレミアの場に立つと、あの苦労も全部吹き飛んでしまうんです。キャストや、共にこの作品を作り上げてきた仲間たちとここにいられることが、本当にうれしくて、感謝の気持ちでいっぱいです」とコメント。
さらに「この映画は“体で感じる作品”です。ナイン・インチ・ネイルズの音楽、視覚効果による壮大な映像――それらすべてを大スクリーンで体験してほしい。IMAX、Dolby Atmos、レーザー映像――この映画は劇場のために作られました」と自信を見せた。
■ジャレッド・レト「『トロン』が人生を変えた」
物語の舞台となるのは、高度なAIプログラムを現実の世界で“実体化”させることに成功した世界。ディリンジャー社は、最強の人型軍事AI・アレスを現実世界に実体化させる。しかし、AI兵士が現実世界で“生存”できるのはわずか29分間…。やがて、“永遠”を求めてAI兵士たちは暴走を開始し、現実世界を侵食していく――。
主人公アレスを演じるのは、ジャレッド・レト。シリーズの熱烈なファンである彼は、いちキャストとしてだけでなくプロデューサーとしても本作に携わり、9年もの年月をかけてアレスのキャラクター像を作り上げていったという。
「最初の『トロン』を観たのは11歳のとき。あの体験が人生を変えた」と語り、続けて「47年以上続くシリーズの一員になれたことを誇りに思う」と感慨をにじませた。
■ジェフ・ブリッジスが再びフリン役で復帰
さらに、シリーズ初作からのレジェンド、ジェフ・ブリッジスもケヴィン・フリン役で復帰。ケヴィン・フリンといえば、かつてエンコム社の開発者だった人物だが、突然失踪し、その行方は不明とされてきた――。その彼が、再び物語にどう関わるのか注目が集まる。
ジャレットは「こうしてジェフと一緒にいられるのは本当に最高だよ」と今回の共演を喜び、「俳優って、なんだか同じ“チーム”の一員みたいなところがあるんだよね。みんな少し緊張していて、いい芝居をしたいと思ってる。だからリラックスしてこそ、本当にいいものが出せるんだ。ジェフとはすぐにその感覚を共有できたんだよ」と、共に乗り越えた撮影を振り返った。
そして、「ジェフは愛さずにはいられない人なんだ。みんなが想像する通りの人。優しくて、寛大で、辛抱強くて、楽しくて、ユーモアがある。素晴らしいことだよね」と大絶賛。「よく“憧れの人には会わないほうがいい”なんて言うけど、僕は会えて本当に良かった。共演することができて素晴らしい経験だった。もっと一緒にやれたらいいのに、って思うよ」と語った。
ブリッジスも「本当にそうだね」と応じ、笑顔を見せた。
会場には、アレスに大きな影響をもたらすエンコム社のCEO、イブ・キム役を務めたグレタ・リー、アレスを現実世界へと送り出したディリンジャー社の社長、ジュリアン・ディリンジャー役を務めたエヴァン・ピーターズらも登場した。
■NIN、書き下ろしの劇中音楽の特別映像も解禁
本作の音楽を手がけたのは、世界的アーティスト、ナイン・インチ・ネイルズ(NIN)。『ソーシャル・ネットワーク』(10年)、『ドラゴン・タトゥーの女』(11年)、『ソウルフル・ワールド』(20年)などでアカデミー賞作曲賞をはじめ数々の賞を受賞してきたトレント・レズナーとアッティカス・ロスが率いるNIN。彼らがグループ名義で映画音楽を担当するのは今回が初めてとなる。
ヨアヒム監督は、「音楽は『トロン』というシリーズのDNAの中でも非常に重要な要素です」と強調。「最初のウェンディ・カーロス、そして『レガシー』のダフト・パンク。あれは本当に史上最高のスコアのひとつでした。だからこそ、トレント・レズナーとアッティカス・ロス、ナイン・インチ・ネイルズが参加してくれると決まったときは、ものすごくホッとしました。彼らの音楽は、この映画の方向性を示してくれました。少しグリティで、より生々しい方向へと導いてくれたんです。その結果に、とても満足しています」と称賛した。
NINが本作のために書き下ろした5年ぶりの新曲「As Alive As You Need Me To Be」を使用した特別映像も上映され、会場は大きな歓声に包まれた。映像には、“29分間”という限られた生存時間の中で現実世界に躍り出るAIたちの脅威、そして人間のイブと出会い変化していくアレスの姿が描かれ、NINのサウンドが観客の感情を揺さぶることを予感させる仕上がりとなっている。
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