万博、パナソニック「ノモの国」実績&レガシー公表 市ノ瀬加那・潘めぐみ・悠木碧出演のアニメ制作、130万回超再生

2025/10/08 18:07
大阪・関西万博 パナソニック館「ノモの国」 (C)ORICON NewS inc.
大阪・関西万博 パナソニック館「ノモの国」 (C)ORICON NewS inc.
 パナソニックホールディングスは7日、大阪・関西万博の同社グループパビリオン「ノモの国」の実績、レガシーを発表した。

【動画】130万回以上視聴…万博「ノモの国」オリジナルアニメ作品(全編)

 「2025年10月5日にα世代の子どもたち10万人以上を含む来館者数が目標の45万人を達成しました。子どもたちやパートナー企業との共創を通じて得られた技術・知見は、今後の社会実装に向けたレガシーとしていかしていきます」と伝えた。

 「ノモの国」は、ココロを映し出すふしぎな国・ノモの国の冒険を通じ、パナソニックが培ってきた「人の理解」の研究に基づく分析や、光・音・風など空間で五感を刺激する技術を体験できるパビリオン。使用済み家電や、工場で生まれる端材が使われるなど、資源循環型の取り組みも実施された。

 日本やフランスで活動し人気アニメ作品を手掛けるアニメーション制作スタジオ“monofilmo”が制作したオリジナルアニメも無料公開。声優は、市ノ瀬加那、潘めぐみ、悠木碧ら務めた。YouTubeで130万回以上再生された。

 以下、取り組み実績と今後の展望について、発表をほぼ全文で紹介する。

【次世代共創の取り組みと今後の展望】
■Unlock体験エリア
「ノモの国」のUnlock体験エリアでは、パナソニックグループが長年培ってきた「ひとの理解」研究や、音・光・風・振動など五感を刺激する「空間演出」技術を活用し、子どもたちの個性や可能性を解き放つ体験を提供しています。その体験を、子どもたちにとって楽しく、分かりやすく、思い出に残るものにするため、万博開幕前からα世代の子どもたちを対象にしたプレ体験などを行い、さまざまな気づきを得ながら、子どもたちと一緒に「ノモの国」の体験をつくってきました。
また、万博本番に向けて、行動特性から個人の感性を分析して32パターンに分類するアルゴリズムを開発。無線タグ(RFID)やカメラによって一人ひとりの行動を独自開発した感性モデルで分析し、表情データから感情を分析した結果と掛け合わせることで、子どもたち一人ひとりに秘められた力や可能性をストーリーとして「蝶」のモチーフとともに描き出しています。会期中、45万人以上に体験いただく中で得られた知見は、「ひとの理解」研究で発展させ、個人の特性に合わせた情動誘導のためのモデルとして活用していきます。

■ノモのコプロジェクト
2022年から、さまざまな共創活動を通じて子どもたちと「ノモの国」をつくる「ノモのコプロジェクト」を推進し、「Unlock」する機会を創出してきました。このプロジェクトには延べ1万人を超える子どもたちや学生が参加。体験コンテンツやファサードの照明演出の制作、バーチャルワールドの作品展示、お客様に配布する端材を活用したノベルティ制作、移動困難な障がいのある方に向けた「ノモの国」UDツアーなどにおいて、大人とは異なる子どもたちならではの視点や想像力、アイデアが実装されました。
2025年9月末に実施した来場者出口アンケートでは、とくに結晶をかざす、葉っぱ型デバイスであおぐなどの能動的な体験が好評で、98%の子どもたちやそのご家族が満足と回答し、「楽しかった」「面白かった」「新しいことに挑戦したくなった」「今取り組んでいる部活や勉強をもっと頑張りたい」といった前向きな声が多数寄せられました。
この取り組みは参加した子どもたち自身の心に残る体験になると同時に、パビリオンを体験する同世代の来場者などの満足度向上にもつながっています。

■Unlock FR(Future generations Relations)プログラム
子どもたちとパナソニックグループの新たな接点を創出し、それぞれのUnlockを実現することを目的に2025年4月に立ち上げた「Unlock FRプログラム」は、さまざまな分野で夢中になっている大人と子どもたちをつなぎ、子どもたちには「好き」や「興味」を探求する機会を、大人には子どもたちとのコミュニケーションを通じて新たな気づきや発見につながるきっかけを提供しています。具体的には、子どもたちが夢中を見つけるきっかけとなるコンテンツを提供するオンライン型探求プログラム「ミート・ザ・ムッチュー人」では、2025年4月~9月の間に40回のオンラインセッションを実施。パナソニックグループの事業会社から選出した13名の社員を含む合計64名の社内外のムッチュー人が登壇し、参加者は1200名を超えました。また、子どもたちのUnlockにつながる「好き」や「興味」を探求する対面での「スクール型ワークショップ」では、パナソニックグループの事業会社5社10部門と連携し、会場内外でのUnlockをテーマとしたワンデイイベントを19回開催。子どもたちによる17個のプロジェクトが立ち上がり、子どもたちや保護者861名をUnlockしました。
このようなプログラムをきっかけに生まれた新たな接点や多面的なアプローチによって、子どもたちだけでなく、グループ社員も「Unlock」するノウハウは、閉幕後もパナソニックグループ内で横展開を図っていきます。

【事業共創の取り組みと今後の展望】
■展示エリア「大地」
人と自然がつながり巡り合う「720°の循環」をテーマにした展示エリア「大地」では、パナソニックグループが研究開発中のガラス型ペロブスカイト太陽電池、ノビテク(植物成長刺激剤)、kinari(植物由来成形材料)、バイオライト(発光バクテリア)など、さまざまな共創によるアイデアや自然エネルギーを活用した技術を展示しています。閉幕後は社会実装に向けた取り組みを加速していきます。

1. ガラス型ペロブスカイト太陽電池
ガラス型ペロブスカイト太陽電池は、独自の材料技術やインクジェット塗布製法、レーザー加工技術を組み合わせることによって実現した、サイズや透過性、描画の自由度の高さが特長です。今回の展示では株式会社ヘラルボニーとのコラボレーションにより初めてアート模様を施したペロブスカイト太陽電池のプロトタイプを制作し、複雑な描画を表現しました。国内外のデベロッパーからの引き合いが多数あるなど、高い注目を集めました。2026年度からテストマーケティングを行い、市場性を見極めながら事業化を目指していきます。

2.「Novitek(ノビテク)」(植物成長刺激剤)
植物の光合成代謝を活性化する成長刺激剤「Novitek(ノビテク)」は、農業への社会実装を目指し、2022年度より全国の協力農家とトマト、とうもろこし、ほうれん草などの野菜に対する効果検証を実施し、収穫量の増加とともに、秀品率の向上が図れるという検証結果を得ました。今回の万博では野菜や観葉植物など新たな品目を追加し、23種類の効果検証を実施することで、新たなデータの獲得につながりました。また、来館者からのフィードバックにより、家庭菜園への活用など、一般消費者の新たなニーズの把握にもつながりました。2025年4月から共創パートナーの住友化学株式会社が農業生産者への大規模なサンプルワークを実施しており、2026年度中の販売開始を目指しています。

3. kinari(植物由来成形材料)
リサイクル性・生分解性を兼ね備えた植物由来の素材であるkinariは、家電筐体や車載機構部材への展開を目指すほか、社会実装に向けた取り組みとしてアサヒビール株式会社と共同開発した「森のタンブラー」のテスト販売や福知山市と共同で学校給食食器の製品化を行ってきました。今回の万博ではジーンズやカカオハスクなど新たに7種類の廃材の材料化を図るとともに、今回初めて大型3Dプリンターによる大型造作を実現し、オブジェを制作。共創パートナーである株式会社積彩と共同で空間デザインにつながる大型インテリア・什器などの新規用途の開拓を進めており、2025年度に完成予定のパナソニックHD技術部門「西門真新棟」にも採用します。

4. バイオライト(発光バクテリア)
発光バクテリアの細胞内にある酵素が生み出す優しいあかり「バイオライト」は、次世代照明システムとしての中長期的な展開を目指し、半年という万博期間をいかして、最適な発光条件や長期培養条件、システム構築につながるデータを取得。今回の展示による実証実験を通じて、発光バクテリアの培養条件を確立するとともに、共創パートナーである東京工科大学と共同で「The Journal of General and Applied Microbiology」に技術論文を投稿し、発光バクテリアの培養に関する技術特許を2件出願しました。今後は非熱・非CO2排出型バイオ照明技術として更なる技術革新や新たな用途開拓を進めていきます。

■NTTアノードエナジー株式会社との水素サプライチェーンモデル実装
NTTアノードエナジー株式会社とパナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、万博会場において、未来社会での水素サプライチェーンモデルを実装しました。NTTパビリオン内で太陽光発電の電力をはじめとするゼロカーボン電力由来の水素を生成し、約200メートル離れたパナソニックグループパビリオンに地中パイプラインを通して供給。パナソニック製純水素型燃料電池を用いて発電した電力はパビリオン内や夜間ライトアップ等で使用しています。半年間、システムが協調して安定した電力を安全に供給することを検証できたことで、水素がくらしのインフラとしてパイプラインで供給される未来社会の実現に向けて推進するモデルとなりました。
また、大阪・関西万博の「地球の未来と生物多様性ウィーク」中に開催されたプログラム「水素パーク!!」(期間:2025年9月22日~25日)と連携し、関西の水素関連3施設(水素発電所・液化水素受入基地・クリーンエネルギー活用工場)を水素バスや水素燃料電池船で巡り未来の水素社会を体感するツアーを川崎重工業株式会社・岩谷産業株式会社・パナソニック エナジー株式会社の3社で共同開催。このツアーには、国内外ビジネスパートナー、政府関係者、高校生など約300人が参加し、多くの反響がありました。さらに「ノモの国」としては「水素パーク!!」が実施したエネルギー関連パビリオン3館(NTT、電力館、ノモの国)を巡る親子向けツアーやスタンプラリーにも協力し、実現しつつある水素社会を多くの方に身近に感じてもらいました。
パナソニックは万博で得られた知見やパートナーシップを活かし、水素社会の実現に向けた取り組みを国内外で加速しカーボンニュートラルの早期達成に貢献していきます。

■パビリオン建築における資源循環
パナソニックグループは、東京製鐵株式会社や三菱マテリアル株式会社と連携し、パビリオン建築に利用した家電リサイクル鉄や銅を再びパナソニックグループ製品の材料として活用する取り組みなど、さまざまなパートナー企業との連携によって建築部材の再利用・再資源化を徹底し、廃棄物の最小化を図ることで、建築物における99%以上のリユース・リサイクル率および廃棄率1%未満を実現します。今回新たに応接室で使用している工場から出た端材・廃材を活用したアップサイクル製品(円盤照明、PALM LOOPボードを用いた家具、プリズムシート照明)やパビリオン内で使用した設備機器などについてもパナソニックグループ内や新たな場所でリユースすることが決まりました。今回の取り組みを通じて得た新たな知見やノウハウをいかすことでパナソニックグループが掲げる長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」の実現に向けた取り組みを加速していきます。

ORICON NEWS(最新15件) >

日間ランキング >