カンヌで注目の新鋭が描く“家族と都市の再生”『見はらし世代』冒頭20分をプレミア公開

2025/10/09 21:00
映画『見はらし世代』(10月10日公開)(C)2025 シグロ / レプロエンタテインメント
映画『見はらし世代』(10月10日公開)(C)2025 シグロ / レプロエンタテインメント
 今年5月にフランスで開催された「第78回カンヌ国際映画祭」の監督週間で、日本人として史上最年少の26歳で選出された団塚唯我監督の初長編作品『見はらし世代』。10月10日からの劇場公開を前に、オリコンニュースのYouTubeチャンネルにて20分に及ぶ本編冒頭映像がプレミア公開された(2週間限定無料公開)。物語の始まりを告げる20分間がひと足先に幕を開ける。

【動画】映画『見はらし世代』本編冒頭映像

 本作は、団塚監督によるオリジナル脚本。主人公の青年・蓮(黒崎煌代)、結婚を控え将来に迷う姉・恵美(木竜麻生)、家族と疎遠になったランドスケープデザイナーの父・初(遠藤憲一)――。渋谷の街を舞台に、ばらばらになった家族が再び関係を見つめ直そうとする姿を描く。新人監督ならではの瑞々しい感性で、現代的な都市の風景と、普遍的な家族の機微を繊細に重ね合わせた人間ドラマ。

 今回公開された冒頭映像は、物語の現在パートから時をさかのぼり、十年半前の夏の家族旅行が描かれる。海辺の別荘にやってきた一家の姿は、ひとときの幸福に包まれながらも、家族のあいだに見えない亀裂が静かに生まれていく様を映し出す。

 まばゆい日差し、蝉の声、潮風――。一見のどかな風景の中に、父と息子の確執の芽生え、そして都市の変貌を予感させる気配が潜む。この20分間は、後に描かれる“現在”のドラマへとつながる、物語の出発点である。

 父の携帯電話が鳴り、建築コンペの最終選考に残ったという知らせが入る。仕事に戻ろうとする父と、「この3日間は家族に集中してって言ったよね」と不満を漏らす母・由美子(井川遥)。夫婦の間に漂う緊張を、幼い蓮は敏感に感じ取る。

 海水浴の支度をした蓮が、母を呼びに行くが部屋から出てこない。恵美が「大丈夫?」と声をかけても、母は「ママは横向きが好きなの」とだけ答え、ソファに身を横たえる。その後、父と姉弟の3人で海へ向かう場面へと続き、後に家族を分かつ“きっかけ”を静かに予感させる。

 やがて視点は現在へと移り、胡蝶蘭の配送運転手として東京を走る青年・蓮の日常が映し出される。海辺で過ごしたあの夏の記憶が、現在の都市を見つめる視線にどう響くのか――。

 “前夜祭”として、作品の核心へと誘う重要な“序章”を無料で体験できる今回の企画は、劇場での本編鑑賞へとつながる“体験としての入口”を提示する、異例の試みとなっている。

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