映画『ペリリュー』本予告&本ビジュアル解禁 主題歌は上白石萌音「奇跡のようなこと」

2025/10/16 08:03
『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』(12月5日公開)本ポスタービジュアル (C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会
『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』(12月5日公開)本ポスタービジュアル (C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会
 太平洋戦争末期のパラオ・ペリリュー島を舞台に、戦火での友情を描いた、史実に基づく戦争漫画をアニメ化した映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』(12月5日公開)の本予告映像と本ビジュアルが公開された。さらに、主題歌「奇跡のようなこと」を上白石萌音が担当していることが明らかになった。

【動画】アニメ映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』本予告

 原作は「ヤングアニマル」(白泉社)で連載され、かわいらしいタッチでありながら戦争が日常であるという狂気を圧倒的なリアリティで描き、第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した武田一義による同名漫画(全11巻、外伝全4巻)。

 すでに日本の戦局が悪化していた1944年(昭和19年)9月15日からはじまった「ペリリュー島の戦い」と、終戦を知らず2年間潜伏し最後まで生き残った34人の兵士たちを描く。主人公・田丸を板垣李光人が演じ、彼の上官であり盟友・吉敷役を中村倫也が務める。

 解禁された90秒の予告映像は、穏やかな楽園の風景と「君は…生きてこの島から帰れると思っているのかい?」という残酷なせりふで映像の幕を開ける。田丸は、故郷から遠く離れた島、ペリリュー島で仲間の最期を「勇姿」として手紙に書き記し、家族に届ける「功績係」に任命された。

 「楽園が、地獄に変わる」と、落下する爆弾のカットをきっかけに、鮮やかな緑の色彩は一転して血煙と銃声の渦に変わる。互いを憎み合う兵士たちの声、防ぎようのないほど降り注ぐ弾丸。三頭身のキャラクターたちが生と死の境界で必死にもがき、倒れていく――戦争の残酷さと極限の恐怖をリアルに伝える構成となっている。

 田丸は、次々と命を落としていく仲間たちを前に、何をどう書くべきか葛藤する。やがて、激戦の中で芽生えた吉敷との友情は、互いの心の支えとなり、「共に生きて帰る」という約束を胸に過酷な戦場を生き抜こうとする。映像後半では、シャボン玉や談笑など、戦火の中のわずかな日常が丁寧に切り取られ、兵士たちの人間らしい表情が浮かび上がる。

 交戦した米兵が倒れ際にこぼした「ママ…」という最期の言葉に、「ママって、お母さん…?」と田丸が驚愕するシーンや、田丸の両親が戦場へ赴く息子を心配そうな顔で見送った追憶のシーンは、戦場にいる誰もが故郷と愛する人の元へ帰りたかったという、普遍的な願いが描かれている。

 クライマックスを飾るのは、俳優だけでなく歌手としても活躍する上白石萌音が担当する主題歌「奇跡のようなこと」。吉敷の「死ぬわけにはいかねーな!」という強い決意の声の後に、彼女の透明で優しい歌声が響き渡る。

 作曲はKazuyo Suzuki、作詞は「小さな恋のうた」で知られるMONGOL800のキヨサクが手がけた。穏やかで芯のあるメロディーと、愛と命を真正面から見つめる詞が、物語の核心である「生きることへの尊さ」と「生き残る約束が結んだ友情」に深く共鳴する。

 同時に解禁された本ビジュアルは、これまでの穏やかなティザーポスターから一変。戦火の中、田丸と吉敷が互いの肩を支えながら険しい表情を見せる姿が描かれている。足元には仲間の遺体が横たわり、背後には敵の戦車と戦闘機、そして美しい夕焼けが広がる。戦場の過酷さと、そこでなお結ばれる絆の強さが静かに浮かび上がる一枚だ。

 “楽園”と呼ばれた島が一瞬にして地獄へと変貌したペリリュー島。その中で交わされた「生きて帰る」という約束の行方は――。今を生きる私たちに強いメッセージを投げかける作品となりそうだ。

■上白石萌音のコメント
 戦後80年の最後に、主題歌と共にこの作品をみなさまにお届けできることをとてもうれしく思います。
 Kazuyo Suzukiさん(作曲)とMONGOL800のキヨサクさん(作詞)による楽曲を聞くだけで島の風や波、そして今に繋がるバトンのようなものも感じられ、映画のその後にも思いを馳せながら大切に歌いました。
 お話をいただいてから原作を一気に読みました。キャラクター達がとても身近に感じられて、単なる歴史ではなく、私たちと同じ一人一人の人間の物語が描かれていました。映画で初めてこの作品に出会う方も田丸くんと吉敷くんのことが大好きになると思います。この二人に板垣李光人さん、中村倫也さんの声や、息や、魂が注ぎ込まれると思うと、とても楽しみです。

 原作で田丸くんが「よく見て、考える」という言葉を何度も自分に言い聞かせるように使うのですが、私はその言葉が大好きです。田丸くんのように、世の中や、歴史や未来をよく見て考える、そのきっかけや一助に、この作品がなることを願っています。
 繋ぐ、という意味合いが強い作品だと思っているので、映画をご覧になられた方と、一緒にこれからを繋いでいけたらうれしいです。

■主演:板垣李光人のコメント
 なんて優しいんだろうと。
 この楽曲を初めて聴いたとき、色々なものが胸に沁み入りました。
 田丸や吉敷、あの島で戦った全ての人々とその帰りを待つ人々、みんなの想いやペリリュー島の情景。
 詩とメロディーでそれらを丁寧に紡いでくださったことに感謝したいです。
 そしてなによりその世界を届けてくださる上白石萌音さんの、優しく喉元から心がじんわりと暖かくなるような歌声。
 田丸としても、救われたような気持ちになりました。
 この楽曲が劇場に響き渡るのを感じること、自分自身もとても楽しみにしています。
 素晴らしい主題歌を本当にありがとうございます。

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