日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の場面カット (C)TBSスパークル/TBS
俳優・妻夫木聡が主演を務める、TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(毎週日曜 後9:00)の第3話が、26日に放送される。勝っても笑わず、負けても怒らない。日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』で沢村一樹が演じるのは、大手人材派遣会社を率いる敏腕経営者で、日本競馬界有数の馬主の一人、椎名善弘。冷静沈着で、どんな勝負にも動じない男だ。
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そんな椎名を演じるにあたり、本作を通じて初めて知る競馬の魅力に触れつつ、「椎名にとって、レースは確認作業なんです」と核心を突くその洞察力や聡明さは、椎名の姿とも重なる。
「馬の価値は数字なんかじゃ測れないんだ」と語り、“人間味”をのぞかせる山王耕造(佐藤浩市)は、馬主として対極とも言える存在。その椎名と山王のライバル関係についても、勝負の裏にある思いを読み解きながら、役作りに活かしているという。
原作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞も受賞した、早見和真の同名小説『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)。演出は、「ラストマイル」(2024年)、「グランメゾン・パリ」(2024年)など数々の名作を世に送り出してきた、塚原あゆ子。人間と競走馬の壮大な物語と、圧倒的スケールの演出の中で、沢村自身が見つめる椎名という男の本質、そして競馬の世界のリアルとは。
■“楽しむ角度”は無限大 演じながら見えてきた「競馬」の魅力
――今回、『ザ・ロイヤルファミリー』という作品について、率直にどのような印象を持たれていますか?
僕は実は競馬について、全然知らなかったんです。知人の中には一口馬主(一頭の競走馬の共同所有者)になったり、競馬に夢中になっている人もいるんですが、僕自身は全然知らなくて。
今回このお話を頂いて、実際に牧場にも行ったり、ドキュメンタリーを見たりして、競馬に関わるいろいろな方たちを見ていると、競馬はやはり、ただのギャンブルではなくスポーツなんだなと思いましたね。
――本作では、最大手の人材派遣会社「株式会社ソリュー」CEOで、日本有数の馬主でもある椎名善弘役を演じられています。
競馬の世界を知ると、椎名ほどの経済力があって、馬主になれば、それは楽しいだろうなと思います。自分で馬を見つけてきて、育てて、走らせるので、その面白さにハマってしまうのも、分かる気がします。
詳しくなればなるほど、どの厩舎出身なのか、どこでトレーニングを受けたのかとか、血統だけでなく誰が乗るかによっても違うし、楽しむ角度がいっぱいあるんですよ。
■勝負は“確認作業” 孤高の馬主・椎名善弘の正体とは
――椎名は、適確に馬の能力や資質を見抜き、レースの際も常に冷静な姿が印象的です。演じるにあたって何か意識されていることや、役に入る前に準備されたことはありますか?
僕は単純に「椎名」という役に対して、“ビジネスで成功した人”という一点で、今回役作りをしました。椎名は、人よりもいっぱいチャレンジをして、その分失敗も多くしていると思うんです。今は成功を収めていますが、そこに行き着くまでは、失敗の積み重ねだったんじゃないかと思うんです。
それは、競馬ともちょっと似ているのかなと思いますね。例えば、たくさん所有している馬の中でも、活躍できるのはほんの一部だったり、いろいろと経営にも通じるものがあるのかなと思います。
きっと、ライバルでもある山王も同じですよね。山王には山王の会社があって、椎名とは経営の仕方も、馬に対する考え方も違う。そんなことも思いながら、役作りしています。
――感情を表に出さない冷静な椎名のことを、どのように意識して演技に臨まれていますか?
椎名にとって、レースは「確認作業」なんです。それが正しかったか、正しくなかったか。もし勝ったら「これが正しかったんだ」という確認ができて、逆に負けたら「何を変えたらいいんだろう」という次の課題が生まれてくるだけで、それを確認しているから、あまり一喜一憂もしない。
椎名は、100点を取るのに慣れている人。テストが返ってきて98点だったとしても、ミスを確認して「次は絶対に間違わないから100点だ」と、もう次に向いているんですよね、きっと。
ただ、山王というライバルがいて、あそこのやり方には負けたくないと思いながらも、ちょっと羨ましいと思ってるところもあるんですよね。山王のように「こいつは気に入った、だから信じる」みたいな、人間味のあるようなことは、椎名にはできない。
羨ましいなと思いながらも、やっぱり自分のやり方で勝ちたいという椎名と、山王とのバチバチとしたところが見えたらいいなと思って演じています。
■「繊細で、臆病」 現場で知った競走馬のリアル
――撮影で馬と接していて感じることや、馬に対する印象の変化などはありましたか?
やっぱり馬って草食動物なんだなっていうのは、すごく感じます。めちゃくちゃ神経質なんですよ。犬や猫も、大抵は肉を食べるんですよね。馬は、あれだけ大きいけれど草食動物。繊細で臆病な生き物なんだなと思います。
撮影の時に、馬が全力で走るところを柵の近くで見るのは危険だと聞きました。馬は全力で走りながらも、こっちをチラっと見るんです。例えば他のお気に入りの馬が遠くに走っているのが目に入ると、「あ!」となって、急に言うことを聞かなくなるんです。
そういうところを見ていても、本来群れで生きているんだなということを、思い知らされたりしますね。馬には、これまでも何度も乗ったことがあるのですが、やっぱり競走馬は、ちょっと違う気がしますね。そのために育てられて、性格をすごく尊重されながら育っているというのも、あるかもしれないですね。
■「知らなかった世界が広がる」――沢村一樹が明かす、第3話の見どころ
――ドラマの放映が始まり、周りからはどのような反響がありましたか?
僕らの世代からはもう、ものすごい支持を受けています。「面白い!」「こういうドラマが見たかった」と言われます。僕自身も、知らないことが多かったので、面白いなと思います。
競馬は「ギャンブル」というひと言では言い表せない感じがして、スポーツでもあるんだなというのは、すごく感じています。
――第3話では、競馬事業の専任秘書となった栗須(演・妻夫木聡)が、新たな競走馬を求め奔走する中で、牧場経営の現実や、馬との絆なども描かれます。印象的なシーンや、見どころをお聞かせください。
僕は今まで、馬がトレーニングする場所や厩舎との違いも分からなかったですし、それぞれの役割も知りませんでした。なので、僕と同じように、ドラマを通じて「なるほど」と思えるところがたくさんあると思います。
3話では、牧場の経営だったり、それぞれの馬に対する考えの違いや、そこでの人間関係についても描かれているので、それが実際にどういう感じなのかを知っていただけると思います。