オアシス、10月25日東京ドーム公演の模様 (C)Big Brother Recordings
全世界を熱狂の渦に巻きこんでいるオアシスの再結成ツアー『oasis Live ’25』が、イギリス、アイルランド、カナダ、アメリカ、メキシコ、韓国での29公演を終え、いよいよ30公演目にして日本に上陸。通算12度目、『フジロックフェスティバル’09』以来16年ぶりとなる来日公演のDay1が、東京・東京ドームにて25日に開催された。
【ライブ写真多数】絶好調のパフォーマンスをみせたリアム・ギャラガーほか
予定されていた午後6時30分ちょうど、今回のすべてのツアーで使用されているスピードメーターの映像と「This is not a drill(これは訓練ではない)」の文字がスクリーンに映し出された。そして会場からの拍手と歓声が最高潮に達する中、リアム・ギャラガーがステージに登場。右手にマラカス、左手には兄・ノエル・ギャラガーの右手を繋いで、高く掲げながら歩み出た。
ノエルは両手を上げ、純粋な喜びの笑顔を見せる。リアムはマラカスをパッと落とし、両手で兄を抱きしめた。このハグは、この夜が素晴らしいものになる予感を強く感じさせる場面となった。
オープニングアクトのASIAN KUNG-FU GENERATIONは、重低音をていねいに響かせつつ、ギターや歌声をクリアに届けるライブサウンドで観客を魅了した。ステージ転換時には、療養中のメンバー・ボーンヘッドのバストアップ写真が掲示され、ノエルとリアムの間の“いつもの位置”を象徴するようにその存在を感じさせた。前立腺がんの治療によりツアーを欠席することが公表されており、快復を祈る気持ちとともに、再結成という形で再び音を鳴らすことができた事実の重みが改めて実感された。
オアシスは、「Fuckin' in the Bushes」でメンバーが定位置に着き、ライブ本編がスタート。「Hello」が披露され、曲が終わるとリアムは「アリガト!」と日本語で観客に呼びかけた。「Acquiesce」のあとには、タンバリンを優しく客席へ投げ入れる一幕もあった。
「ここってマジでいい感じのドームだよな」と語ったリアムの言葉に続いて、ヘリコプターの音が響き「Morning Glory」のイントロが始まる。ギターソロやアウトロではノエルがリラックスした様子でプレイしていたのも印象的だった。5曲目の「Some Might Say」では、リアムの歌声が絶好調で、投げキッスや心臓を叩くジェスチャーを交えながら「アリガト!」と再び声をかけるなど、ロックスターとしての堂々としたパフォーマンスを見せた。
ライブを重ねてきたバンドの演奏は洗練されている印象で、リアムの喉のコンディションも良好に感じられた。ノエルは演奏全体を安定的に支え、ギターソロでも余裕のあるプレイを披露。再結成後のステージでは、メンバーそれぞれの役割が明確で、構成やパフォーマンスにも熟練のバランスが感じられた。
アンディ・ベル(ベース)やゲム・アーチャー(ギター)は素晴らしい演奏を聞かせ、リアムのソロにも参加していたクリスチャン・マッデン(キーボード)、およびボーンヘッド代役であるマイク・ムーア(ギター)もごく自然に馴染んでいた。また今回のツアー・ドラマーのジョーイ・ワロンカー(アトモス・フォー・ピースなど)が曲に合わせて着実に、それでいて笑顔で力強く演奏している姿も印象的だった。メンバーが生み出す極上のバンドサウンドの中で、リアムの無二の歌声が響いた。
「Cigarettes & Alcohol」では、リアムの呼びかけによって観客が“ポズナン”(肩を組んで後ろを向くスタイル)を実施し、一体感のある場面が生まれた。「Live Forever」では通常行われる映像演出は省かれたものの、リアムが「ここに来れない人たちに捧げる」と語ってパフォーマンスされた。
終盤は「Whatever」「Live Forever」「Rock 'n' Roll Star」で本編を締めくくり、アンコールでは「The Masterplan」「Don’t Look Back in Anger」「Wonderwall」「Champagne Supernova」と珠玉のナンバーが立て続けに披露された。最後には、リアムがマラカスとタンバリンを頭に乗せようとするしぐさを見せ、客席から笑いと歓声が上がる。ノエルのもとへ歩み寄り、ふたたびハグを交わしてライブを締めくくった。
会場周辺では、オアシスの公式ショップを中心に関連コンテンツが多数展開。東京・渋谷のMIYASHITAパーク内には、過去作品のジャケットを模したフォトスポットや大型映像掲出もあり、来日記念企画を盛り上げていた。事前に販売されたTシャツなどのグッズを身につけた観客が多く、ドーム全体がオアシスの世界観に包まれていた。
■セットリスト
M01. Hello
M02. Acquiesce
M03. Morning Glory
M04. Some Might Say
M05. Bring It on Down
M06. Cigarettes & Alcohol
M07. Fade Away
M08. Supersonic
M09. Roll With It
M10. Talk Tonight
M11. Half the World Away
M12. Little by Little
M13. D’You Know What I Mean?
M14. Stand by Me
M15. Cast No Shadow
M16. Slide Away
M17. Whatever
M18. Live Forever
M19. Rock ’n’ Roll Star
【Encore】
M20. The Masterplan
M21. Don’t Look Back in Anger