“ライブアーティスト”としての進化を見せた粗品の全国ツアー千秋楽 本編はMCなしのストイックなステージに【ライブレポート】

2025/10/31 12:00
全国ツアー『粗品 全国五大都市ツアー「新世界より」』千秋楽公演の模様 Photo by 渡邉一生
全国ツアー『粗品 全国五大都市ツアー「新世界より」』千秋楽公演の模様 Photo by 渡邉一生
 芸人として数々の受賞歴を誇る傍ら、アーティストとしての活躍の場を広げている粗品(霜降り明星)が、29日に愛知・Zepp Nagoyaにて、全国ツアー『粗品 全国五大都市ツアー「新世界より」』の千秋楽公演を開催した。

【ライブ写真】エモい…!パジャマ姿でギターをかき鳴らす粗品

 9月にリリースしたアルバム『佐々木直人』を携え、2日の東京・Zepp Haneda (TOKYO)を皮切りに、福岡、大阪、札幌のZeppをまわってきた今回のツアー。ラストの名古屋公演も、これまで同様、痴漢および痴漢冤罪防止のため、1Fのスタンディングエリアは男女が左右にエリア分けされる形で開催された。

 クラシックナンバー「カノン」が流れ、ドラムの岸波藍、ベースの藤本ひかりが順番に登場。最後に、ライブではおなじみとなったパジャマ姿の粗品が姿を現すと、満員の場内は割れんばかりの拍手に包まれた。オープニングは新作の1曲目である「ギャーン!」。「ようこそこの場所へ 自由に楽しんで」というライブでのオーディエンスへのメッセージが歌詞に盛り込まれたナンバーで、サビのパートでは観客による曲名を叫ぶコーラスが響きわたった。

 続いて、「ビームが撃てたらいいのに」のインストバージョンと「ビームソードで斬れたらいいのに」を連続で披露。今回のツアーでは、前作の1stアルバム収録曲はすべて歌なしのインストバージョンで演奏され、観客が粗品に代わって大合唱し、場内は一体感に包まれる。粗品もステージを動きまわり、髪を振り乱しながら轟音(ごうおん)でギターをかき鳴らして、観客の熱に応えた。

 『佐々木直人』は、パンクロックをベースにしつつ、粗品の音楽的アイデアを注ぎ込んだバラエティ豊かな楽曲が並ぶ作品だった。それがライブでどのように表現されるかも注目のポイントだったが、昨年6月の初ライブ以来、2度のツアーやフェス出演などステージ経験を積み重ねてきた藤本&岸波とのコンビネーションは抜群だった。ステージ中盤には、初のバラード「朝影の宝石」と、「はらぺこジョアンナとマラフーテのたまご」を演奏。後者は曲の後半に複数回のトリッキーなブレイクがあるナンバーだが、3人は見事に息の合ったパフォーマンスを披露した。

 小休憩を挟み、ステージ後半は、ファンの気持ちに寄り添った「サルバドルサーガ」と「告白」、亡き父に捧げた「はるばらぱれ」と、愛する母に捧げた「直人とお母さんの歌」を、それぞれ続けて演奏した。そして本編ラストは、新作の中で最も激しいナンバーである「粗品のテーマ」。粗品は残ったエネルギーを振り絞るかのような、魂のこもった力強いシャウトを繰り広げ、ステージをあとにした。

 本編はMCなしのストイックなステージで、アンコールでようやく初めてのMCタイム。バンドメンバーとのトークや、観客からお題をもらい、それになぞかけで答える場面もあり、和やかなムードに包まれた。

 それに続く「毒棘スウィングノート」では、アルバムでは自ら歌っていたゴスペル風コーラスパートを観客にていねいにレクチャーしたうえで、会場全体が一体となってパフォーマンスをおこなった。

 これまでのツアーに比べて、オーディエンスとの一体感が増したステージ。ライブアーティストとしての粗品のさらなる成長を証明したツアーとなった。

■セットリスト
『粗品 全国五大都市ツアー「新世界より」』
10月29日(水)愛知・Zepp Nagoya

M01. ギャーン!
M02. ビームが撃てたらいいのに(inst)
M03. ビームソードで斬れたらいいのに
M04. 惑乱竜クレイジア
M05. オーディンの騎行(inst)
M06. 想起して15度
M07. ストケシアの碇星
M08. 宙ぶらりん(inst)
M09. 朝影の宝石
M10. はらぺこジョアンナとマラフーテのたまご
M11. サルバドルサーガ(inst)
M12. 告白
M13. はるばらぱれ(inst)
M14. 直人とお母さんの歌
M15. 粗品のテーマ
<アンコール>
M16. 毒棘スウィングノート
M17. 脱兎の如く目まぐるしく動く時間で

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