アキレス腱断裂からLAPOSTAの舞台へ…岡村隆史“オファーシリーズ”史上最長484日の軌跡 『めちゃ×2メチャってるッ!』に反響続々&関連動画も大バズリ

2025/11/17 07:00
『めちゃ×2メチャってるッ!』(C)短い人で1年6ヶ月、長い人で3年間「メチャっていた」製作委員会
『めちゃ×2メチャってるッ!』(C)短い人で1年6ヶ月、長い人で3年間「メチャっていた」製作委員会
 「めちゃイケは僕の青春でした」。その言葉を残してから6年後、ナインティナイン・岡村隆史が、止まっていた「めちゃ」の時計を再び動かした。『めちゃイケ』名物の「岡村オファーシリーズ」最長となる484日、足かけ3年におよぶ超大作『めちゃ×2メチャってるッ!~Let’s Do MECHA again!』が、現在FODで配信されている(第1部:全5話、第2部:全7話)。54歳になった「青ジャージ」岡村が、LAPONEエンタテインメントから7年ぶりのオファーを受け、2025年2月2日に東京ドームで行われた「LAPOSTA 2025」の舞台に立った。なぜ、今作が484日もの日数を要し、総尺7時間にも及ぶ内容となったのか。FODでの本編視聴はもちろん、ショート動画の再生数も絶好調で、大きな反響を呼んでいる今作について迫っていきたい。

【動画】岡村“オファーシリーズ”史上最長484日の軌跡!ティーザー映像公開

■『めちゃイケ』過去映像もふんだんに… 「めちゃ」らしく生きようとしていた岡村隆史

 今からさかのぼること28年前の1997年、岡村がSMAPのコンサートに飛び入りした「岡村オファーシリーズ」第1弾が放送された。7年前、オリコンニュースが行った『めちゃイケ』リレーインタビューにおいて、岡村は当時のことをこのように振り返っている。

 「今だったら練習期間を用意してもらえるし、練習風景を撮影してすぐに見返せる便利なアイテムがありますが、あの時は1日で何曲も覚えなきゃいけなくて本当に大変でした。やっている時も何が面白いのかわからなくて、終わってから飛鳥さん(『めちゃイケ』総監督の片岡飛鳥氏)と衝突して『こういうのは二度とやりません』って啖呵を切って、打ち上げにも行かずに帰りました。ただ、相方に『踊っただけで面白かったか?』って聞いたら、『すごく面白かった』って言ってもらえて、番組もすごい反響だったから、後に飛鳥さんに謝ることになったんですけど(笑)。あれは“芸人・岡村隆史”のスタイルや生き方が決まったターニングポイントだったと思います。視聴者のみなさんからの期待を全部背負って、全部自分の責任でやってやるっていう気持ちになれたというか。自分で言うのもおこがましいんですけど、あの『オファーシリーズ』第1弾がなかったら、『めちゃイケ』がこんなに皆さんに愛されて長く続く番組になっていなかったと思いますし、進むべき方向も打ち出せなかったと思います」

 今作の第1部は、そんな「芸人・岡村隆史」の大きなターニングポイントとなった『オファーシリーズ』第1弾の映像が冒頭に登場する。第1部、第2部それぞれ最初のテロップで「タイムリープ的編集も用いて、時系列をわかりやすく整理」と伝えられる通り、以降も『めちゃイケ』の過去映像を多く使用することで、往年のファンはもちろん、これをきっかけに初めて触れる視聴者にとっても、これまでの軌跡をたどることができ、より没入できる演出が施されている。

 第1部で主に描かれているのは、オファーシリーズ史上最大ともいえる“ピンチ”と、あきらめずに立ち向かっていく岡村の姿。2023年秋、『めちゃイケ』終了から6年目に入った岡村のもとへ、“旧友”江頭2:50が現れて「今のお前はウンコだ。ゆるーい芸人生活はもういいだろう!」と一喝。その言葉を受け、岡村が向かった先は、かつて『めちゃイケ』に憧れていた若手芸人軍団、通称「MM団」が待っていた“パルクールの練習場”。得意の運動神経を発揮していく岡村だったが、撮影初日にアキレス腱断裂という悲劇に見舞われる。

 極秘で進められていたプロジェクトも、ここで終了か…と思われたが、幾多のピンチを乗り越えてきた岡村と『めちゃ』チームは前を向く。今作のプロデューサーで、岡村が長期休養した際にナイナイのマネージャーを担当していた大谷氏も登場し、岡村と休養時のエピソードを語りながら、再起に向けた日々が映し出されていく。岡村が「リアルなドキュメンタリー」「病院から家帰るところまでずっとカメラ回ってます」と口にするように、本当にすべてが映像に収められている。

 そこから、よゐこ・濱口優との“再会”や、23年に亡くなった“恩師”への思い、岡村との相性抜群なカリスマトレーナーのJ.T.によるリハビリなど、復活にいたる歩みが描かれていくが、岡村はもちろん、岡村を支える人々のキャラクターを魅力的に伝えるのも『めちゃ』チームならでは。終盤で、感極まったレインボー・ジャンボたかおが発した“あるコメント”が、今作のタイトルにもつながったのかと予想されるが、改めて「めちゃ」の中に参加した若手芸人たちはもちろん、岡村本人も、もう一度「めちゃ」の中に身を置き、「めちゃ」を楽しみ、「めちゃ」らしく生きようとしていたのが伝わってきた。そして、岡村オファーシリーズには欠かせない“相方・矢部浩之”がついに登場し、第2部へと突入していく。

■第2部は“影のMVP”矢部浩之の魅力が満載 関連動画が1760万回の大バズリ

 第2部は、54歳になった岡村が再び『めちゃ』で見せる奇跡、そして“影のMVP”矢部の魅力が存分に伝わる内容に。さて、ここで岡村と同様に、7年前に矢部に行ったインタビューを振り返ってみたい。

 「僕と飛鳥さんの関係って、ほかのメンバーと比べても特殊ですね。みんな若い頃からやってきたから、『めちゃイケ』が『学校』で飛鳥さんが『先生』ってよく言ってたけど、僕は一人だけポジションが違って、演者だけどなかなかの制作スタッフ寄りだから(笑)、その感覚じゃないんですよね。演者だったら聞かなくてもいいことを聞かされたり、“裏回し”っていうポジションも任されたり(中略)『めちゃイケ』は早い段階で『岡村隆史を神輿に乗せてみんなで担ごう』っていうフォーメーションで、僕は笛を吹きながら『こっちこっち』って先導するような役割になっていきましたよね。だから、僕はメンバーには感謝しかないんです。最初に番組に集められた時は、みんな若いしギラギラしているから、誰もが真ん中に立ちたいに決まっているんですけど、飛鳥さんが作ったフォーメーションを、加藤浩次を始めとするメンバーたちはかなり早い段階で受け入れてくれました。これってある意味で押さえつけなので、不貞腐れて収録に来ない人がいても不思議じゃなかったと思うけど(笑)、みんなが『神輿の上にちいさいおっさんを乗せよう』って腹を決めて担いでくれて」

 第2部では、ナイナイがそろって『めちゃ』の世界で躍動する姿や、矢部の内に秘めていた思い、岡村が今作にかける気持ちなどが明かされる場面も。JO1、INI、ME:Iメンバーたちとの交流では、新たな化学反応が生まれ、岡村がマスコットキャラクターのキグルミの「中の人」としての任務と並行して、JO1、INIのダンスを“コソ練”する様子など、アキレス腱断裂から奇跡の復活を果たした54歳の“青春”もたっぷりと映し出されている。そして迎えた本番当日を描いた、Episode.12のタイトルは、水前寺清子の名曲をなぞらえた『「365歩のマーチ」の奇跡』。同曲の歌詞のように、アキレス腱の断裂から始まって、配信にいたるまで、歩みを進めても引き返さざるを得ない状況が続いたが、休まず歩き続けて、ついに配信にこぎつけた。アキレス腱を断裂したロケ初日が2023年10月10日、岡村が『ナインティナインのオールナイトニッポン』内で「めちゃイケのようなものが始動している」と話したのが24年10月10日、そして今作の第1部配信が25年10月10日と、岡村にとっても大事な日(実は本人の結婚記念日)が節目となった。

 そんな超大作となった今作だが、FODはもちろん、YouTubeチャンネル『FANYStudioチャンネル公式』のショート動画の再生数も絶好調。INIが「BOMBARDA」を踊る横で、岡村がキレキレのダンスを披露する動画は554万回視聴(11月16日現在)を叩き出し、そのほかの動画も好調で、15分を超える長編のティーザー映像(192万回)を含めると、合計約1760万回(同日現在)を叩き出しており、往年のファンはもちろん、JO1、INI、ME:Iらのファン層からも大きな注目を集めていることがわかる。過去映像を用いて『めちゃ』の世界観を丁寧に紹介したり、時系列を巧みにいったりきたりさせる方法で、多くの視聴者を獲得。さらに第1部の段階から先取りで第2部の映像を差し込むといった関心をひき続ける演出、地上波では放送時間の関係上流せなかったパートも配信だからこそ紹介する流れも見事で、片岡氏から視聴者、そして2025年で結成35年を迎えたナイナイへの『めちゃ×2メチャ』な愛を感じる。

 先日行われた「ナインティナインのオールナイトニッポン歌謡祭」では、映画『国宝』よろしく、歌舞伎の女形の衣装&メイクで登場したナイナイだが、これまでもこれからも“国宝級”の活躍を見せてくれそうだ。

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