障害者がつくるアートな「寅」 鹿児島市の「ぎゃらりーASAHIYA」 多くの人に見てほしい 「扉はいつでも開いてます」

2022/01/01 20:50
作品を手に、笑顔の利用者ら=鹿児島市皆与志町のぎゃらりーASAHIYA
作品を手に、笑顔の利用者ら=鹿児島市皆与志町のぎゃらりーASAHIYA
 木のぬくもりがあふれるギャラリーに入ると、色鮮やかなアート作品が目に飛び込んできた。鹿児島市皆与志町の障害者支援施設「あさひが丘」に併設されている「ぎゃらりーASAHIYA」。知的障害や自閉症のある18~70歳の約100人が制作した陶芸、絵画、革製品など世界に二つとない独創的な作品が広がる。

 「自分自身を自由に表現することが心身の健康につながる。やりたい創作活動をやりたい時にしてもらっている」。日中活動支援課長の新澤杏奈さん(39)は説明する。地域の人たちに作品を見てもらおうと開設したギャラリーは今年8年目を迎える。

 ギャラリー以外にも課外活動の一環として、学校バザーやイベントに参加し作品を展示販売してきた。ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止が相次いだ。どうすればいいのか。まずは施設内での活動を充実させようと昨年7月、「アートデー」を設けた。皆で一緒に絵やタペストリーなどを作る時間だ。8月には鹿児島市のマルヤガーデンズに共同作品を展示し好評を博した。

 12月の「アートデー」では新年の干支(えと)「寅(とら)」と前年の「丑(うし)」をテーマにした。利用者の前田崇志さん(26)と柳園夏菜子(25)のデザインをもとに和紙や折り紙をちぎって貼ったり、竹や廃材を組み立てたりと試行錯誤。びょうぶとしめ縄も組み合わせた立体作品に仕上げた。

 完成した日。メンバーに集まってもらい写真を撮った。わいわいがやがやとした雰囲気。舞台のようなセリフをつぶやく人、恥ずかしがって下を向く人、「新聞に出る」と大喜びの人もいる。支援員の本田和輝さん(29)が「カメラを見てね」と呼び掛けると、ほんの一瞬、気持ちが集まり笑顔が輝いた。

 「コロナが早く収束し多くの人にギャラリーに来てもらえるといい。扉はいつでも開いています」。新澤さんが代弁する。鹿児島に暮らす誰もが尊重し合い共生する、そんな新年となればいい。(速見由紀子)

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >