2列で走る車の間に境界線はない=鹿児島市城山町の国道10号(画像の一部を加工しています)
鹿児島市城山町の国道10号で昨年12月に起きた交通事故で、「現場は片側1車線」と報じたところ、「その一帯は片側2車線では」との問い合わせが読者から相次いだ。確かに車は上下線とも2列で走っている。走行ルールはどうなっているのか。
現場は中央公園と県立博物館の間の国道10号。市街地と姶良市方面を結ぶ幹線道路で交通量が多い。路面をよく見ると、御楼門(城山町)付近から照国神社前交差点(城山町)を過ぎ、国道3号とつながった約1キロの区間は車線内に境界線が引かれていない。
管理する九州地方整備局鹿児島国道事務所によると、同区間は1車線で間違いない。道路構造令によって一つの車線には2.75メートル以上の幅が必要。ここは道路幅が約5メートルなので、境界線を引いて2車線に区切ることはできない。
一方、道路交通法は一つの車線内を2列で走ることは禁じていないという。城山町の国道10号も長年の習慣で定着したとみられる。ただ、不慣れなドライバーは走りにくいだろう。
同市のタクシー運転手(50)は「県外ナンバーの車が2列走行せずに中央寄りを進み、後続の地元車が無理に追い越していくケースがある。危険なので互いに譲り合いたい」と指摘する。道路が広い北海道出身の記者も、この区間は緊張しながらハンドルを握っている。
県警交通規制課の南英雄理事官は「1車線を2列で走る場合、進路変更や追い越しのルールに注意を」と呼び掛ける。同一車線内の進路変更や、右折で道路右側に寄る際は方向指示器で合図する必要がある。左側からの追い越しも禁止だ。