ウクライナの学校と姉妹校締結した際の思い出を語る上川咲男さん=25日、鹿児島市鴨池1丁目
ロシア軍のウクライナ侵攻が激化した25日、現地の2校と提携する鹿児島市の英語塾「上川イングリッシュスクール」の上川咲男学院長(70)は「1週間前に先方からの連絡が途絶えた。心が折れそう」とショックを隠せない。交流していた生徒らの無事を祈りながら情勢を見守っている。
各国にネットワークを持つ同塾は、ウクライナの公立、私立2校とのホームステイを計画している。新型コロナウイルスの収束後、両国の生徒が互いに訪問しようと、校長とメールのやり取りを重ねていた。
しかし、「情勢は心配ない」という18日の返信を最後に連絡が取れなくなった。上川さんは「現地は急に混乱し、メールどころではないのだろう。無事かどうか気になって仕方がない」と心配する。
提携先の一つ、首都キエフから約200キロ離れた中部チェルカッスイ州の学校を2019年に訪れた。ヒマワリ畑などの美しい自然と明るく思いやりのある国民性に心を打たれた。
忘れられないのは、10歳の少女が将来の夢を「平和で統一されたウクライナで暮らすこと」と語ったこと。「日本で平和を将来の夢に掲げる子どもがいるだろうか」と意識の差に衝撃を受けた。親に捨てられたり、貧しい境遇で育ったりした子も多かったが、みんな穏やかで優しかったと振り返る。
連日の侵攻のニュースに「50年近く国際交流に携わってきて、心が折れそうなのは初めて。一刻も早く戦闘が終結し、子どもたちに笑顔が戻ってほしい」と願った。