生理の貧困、支援に格差 鹿児島県内14市町が公共トイレに常備や窓口配布 自治体や民間の取り組みない地域も

2022/04/18 11:06
 公共施設のトイレに生理用品を常備するなど、「生理の貧困」を支援する動きが鹿児島県内の自治体に広がっている。県男女共同参画室によると、支援に取り組む自治体は昨年12月時点で14市町。県は22年度、希望する自治体への生理用品の無料配布や周知・啓発のマニュアル作成など、市町村を後押しする事業を予算化した。コロナ禍の経済困窮対策だけでなく、「女性の健康や尊厳に関わる問題」として継続的な支援が求められている。

 予算を組み、支援するのは日置市や姶良市、薩摩川内市、垂水市など。学校や公共施設のトイレに常備したり、受取窓口で希望する住民に配ったりしている。

 民間からの寄付や提供を受けて官民連携で支援する市町もある。曽於市は「フードバンクそお」が提供する生理用品を、公共施設のほか、道の駅や温泉、子ども食堂など身近な場所に置く。同市生活相談支援センターは生理用品を配布するだけでなく就労や生活相談なども受ける。

 このほか、防災備蓄を緊急的に配布する市町もある。ただ、寄付や備蓄がなくなれば、支援を継続できるか懸念もある。

 枕崎市のボランティアで組織する「チア・トイレ」プロジェクト実行委員会は昨年秋、県の地域振興推進事業の助成を受けて生理用品を市立図書館に常備。さらに同館のカウンターでカードを見せれば、何も言わなくても生理用品を受け取れるようにした。

 だが、助成事業は3月で終了し、4月からは仲間で費用を捻出して続ける。メンバーの福永里奈さんは「トイレの生理用品は毎月10個程度使われている。目に見えにくい問題だが、現実に困っている人がいる。続けることが大事」。

 県が2月発表したウェブアンケート調査によると、4035人中138人が「購入にいつも困っている」と回答。特に10、20代が目立った。交換回数を減らしたり、トイレットペーパーで代用したりしており、半数が生理用品を十分使えないことで心や体に不調を感じていた。

 自治体や民間の支援がない地域もあり、県内で格差も生まれている。福永さんは「公共の場でいつでもだれでも手に入る社会になってほしい。『あなたを見守っています』という社会のメッセージになる」と訴える。

 男女共同参画室の瀬戸口弘美室長は「社会全体で考える機運をつくるとともに、市町村の取り組みを支援していきたい」と話す。

●宮崎

 宮崎県は昨年12月から、全ての県立学校で生理用品の無償配布を始め、本年度も続けている。対象は県立高校や特別支援学校など52校。女子トイレに置き、学校判断で保健室や手洗い場にも置いている。トイレ光熱費などの予算をあてている。

 事前に7校をモデルに検証したところ、3割の女子が無償配布の生理用品を使い、1割が入手に困っていることが分かった。スポーツ振興課は「学校教育ではなく福祉の問題との意見もあったが、困っている生徒がいるのであれば、安心で健康な学校生活を送れるよう可能な限り寄り添っていきたい」と説明した。

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