特攻に異を唱えた美濃部正少佐。夜間爆撃に特化した芙蓉部隊の生き残りらは、基地跡に慰霊塔を建てた

2022/08/08 20:50
美濃部正少佐
美濃部正少佐
〈戦後77年 戦争遺跡を歩く〉芙蓉之塔=鹿児島県曽於市大隅

 太平洋戦争末期、曽於市大隅には芙蓉部隊と呼ばれる海軍の攻撃隊がいた。死を前提とした特攻ではなく、夜間爆撃に特化した部隊だ。指揮官は愛知県出身の美濃部正少佐(1997年に81歳で死去)。特攻に異を唱え、合理的な戦法として編み出したのが夜間攻撃。1945年5月から終戦まで沖縄方面に出撃した。

 静岡県で編成された部隊で、富士山の別名「芙蓉峰」から命名された。鹿屋基地を経て岩川基地に進出。終戦までに亡くなった隊員は整備兵を含めて105人という。1978年、部隊の生き残りや遺族、関係者らの尽力で基地跡に慰霊塔「芙蓉之塔」が建立された。毎年11月に慰霊祭がある。

 今月4日、曽於市教育委員会が企画した「市内の戦跡をめぐる」催しには小学5、6年生が参加。芙蓉之塔にも足を運び、市職員の説明に聞き入った。末吉小6年東蓮仁君は「戦争は悲惨。国同士が戦わないように努めることが大事だと思う」と話した。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >