南日本新聞社は3日の憲法記念日に合わせ、憲法問題に関する意識調査を鹿児島県民に実施した。憲法改正が必要と答えた人は63.5%で、改正は必要ないとした人の30.9%を32.6ポイント上回った。9条見直しでは賛成と答えたのは50.8%で、反対の42.2%を8.6ポイント上回った。
岸田文雄首相は任期中の憲法改正に意欲を示す。昨年夏の参院選で、改憲に前向きな勢力が衆参両院で国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持。衆参両院の憲法審査会では9条への自衛隊明記などさまざまな議論が進んでいる。
改憲の必要性について「ある」35.4%、「どちらかといえばある」28.1%。「どちらかといえばない」18.9%、「ない」12.0%。「分からない」5.6%だった。
改正が必要な理由では「憲法の規定が時代に合わなくなっている」が最多の66.8%。「新たな権利や義務を盛り込む必要がある」18.4%、「占領下に米国主導で制定されたから」11.1%だった。
改憲の必要がないとする理由は「平和主義と戦争放棄を掲げているから」が59.1%で最も多く、「今の憲法で不都合なところはないから」23.5%、「解釈次第で情勢の変化に対応できるから」12.2%と続いた。
戦争放棄と戦力不保持をうたう9条の見直しは「賛成」30.7%、「どちらかといえば賛成」20.1%。「どちらかといえば反対」21.8%、「反対」20.4%だった。
憲法見直しの議論で優先すべき事柄では「憲法9条」24.5%と「国会や選挙制度」23.1%がきっ抗した。「緊急事態条項」13.4%だった。
調査は4月15、16日に行い、1062人の回答を得た。
南日本新聞社は2007年から22年まで、毎年4月に憲法に関する世論調査を実施してきた。今回はこれまでの世論調査とは方法が異なるため単純に比較はできないが、前回22年でも改憲派が9年ぶりに6割を超えた。
▽調査の方法=鹿児島県内の18歳以上を対象に4月15、16の両日、固定電話と携帯電話に、コンピューターで無作為に発生させた番号をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。自動音声応答通話(オートコール)方式を採用。携帯電話で同意した人にはショートメッセージサービス(SMS)を使い質問に答えてもらった。1062人の回答を得た。性別の内訳は男性664人、女性350人、答えない48人。