母国の平和を願うグレバ・カテリナさん=4月、鹿児島市錦江町の西原商会鹿児島支店
19日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は、ロシアによるウクライナ侵攻が主要議題の一つとなる。首都キーウ(キエフ)から鹿児島市に避難し、この春から業務用食品卸の西原商会(同市)で働くグレバ・カテリナさん(22)は「戦争が終わり、家族と平和に暮らせる日常に戻ってほしい」と願う。
ロシアがウクライナを侵攻した2022年春、日本経済大学(福岡県太宰府市)の避難民学生として来日した。1年間学び、日常会話をある程度理解できるとされる日本語能力試験「N3」に合格するまで上達した。
日本に興味を持ったのは、14歳のころに見たアニメ映画「千と千尋の神隠し」がきっかけ。文化や世界観に引かれ「いつか日本で暮らし、日本人と友達になりたい」と夢を抱くようになった。キーウ国立言語大に進み日本語や日本の歴史を専攻。留学中もオンラインで授業を受け続け、言語大を昨年夏に卒業した。
故郷に残る家族の無事を祈りながら、社会人としての一歩を踏み出した。会社では広報部で食品展示会の運営などにあたる。「日本の食材や調味料に詳しくなれてうれしい」と充実した日々を過ごしている。
母・ソフィアさんとは月1回ほど、電話で語り合う。「心配しないで。大丈夫」とソフィアさんは必ず言うものの、グレバさんは心配が尽きない。「声を聞くとうれしい。でも、さみしくもなる」。1年以上会えない家族を思い声を詰まらせた。
いつか両親を日本に案内するつもりだ。「もう戦争の心配をしたくない。一日も早いウクライナの自由を祈っている」と切実に訴えた。
県国際交流課によると、18日現在、県内にウクライナから23人が避難している。