自衛隊基地整備に伴い、解体される馬毛島のトーチカ=2022年8月(小型無人機で撮影)
太平洋戦争中、旧日本海軍が使ったとされる鹿児島県西之表市馬毛島のトーチカ(防御陣地)が、自衛隊基地建設工事に伴い解体される。市は移設・保存したい意向だったが、防衛省から「劣化が進み、崩壊すると思われることから困難」と回答があったという。
19日の市議会一般質問で明らかにした。
市は昨秋に実現した全島調査で、トーチカの撮影や測量を実施しており、3Dモデルを作成して記録保存する方針。島南部にある爆弾投下訓練の標的の一部は、基地関連施設の整備区域外のため、そのまま残される。
トーチカはコンクリート製。高さ3.8メートル、直径3.6メートルの円筒形で、最高地の岳之腰(標高71メートル)に立つ。戦後はトビウオ漁の見張り台にも使われ、かつての島民の痕跡を示す遺構でもあった。