古い木箱から見つかった85年前の軍事郵便と岩重俊一さん=姶良市
鹿児島県姶良市加治木町本町の民生委員岩重俊一さん(75)宅で、85年前の戦時中の手紙が見つかった。岩重さんの伯父が、戦地から加治木の家族に送った軍事郵便や手紙40点余り。一部を11日に同市の加音ホールである「8.11空襲の日 平和の集い」で展示する。岩重さんは「若い人に戦争の苦労や、現在の平和の大切さを知ってほしい」と話している。
1938(昭和13)年、当時36歳で中国に出征した岩重さんの伯父横山清さんが、妻文子さん(いずれも故人)らに宛てたもの。岩重さんがこのほど自宅の倉庫で、古い木箱に収められた状態で見つけた。
半年間にわたり、戦地の様子や身の回りの出来事を家族に伝えていた。岩重さんは「外地に出征した伯父が、家族を安心させようと気遣ったことが分かる。軍の配給品の乏しさや、体調不良で入院するなど戦地の厳しさも伝わる」と話す。
横山さんは温厚な人柄で、厳しい戦争体験を感じさせなかったが、岩重さんは「腰に銃創があると聞いた。国のために出征し、苦労した人や家族が身近にいたと改めて感じた」と話す。
太平洋戦争末期に大規模な空襲を受けた加治木では毎年、錦江校区コミュニティ協議会が被災した8月11日に合わせて「平和の集い」を開いている。今年は、横山さんの軍事郵便の一部を展示するほか、小中学生が加治木空襲やロシアのウクライナ侵攻について発表する。