墜落したとみられる機体と同型の米空軍CV22輸送機オスプレイ=2018年6月、奄美市の奄美空港
29日午後2時40分ごろ、鹿児島県の屋久島沖で、米軍横田基地(東京都)所属のCV22輸送機オスプレイの機影がレーダーから消え、「墜落した」との110番があった。海上で機体とみられる残骸や無人の救命ボートが見つかった。第10管区海上保安本部によると、6人が搭乗していた。海上で見つかった男性1人の死亡が確認された。左エンジンから炎を上げ、回転しながら墜落したとの目撃情報が相次いだ。
オスプレイの国内事故で死者が出た例はない。10管によると、現場は屋久島の東側約1キロ付近で、周辺の水深は約30メートル。死亡した男性は白人とみられ、緑の迷彩服と救命胴衣を着用していた。安房港に引き上げられ、現地の医師が死亡確認した。身元の確認を急いでいる。
10管は対策本部を設置し巡視船や漁船が捜索、救助に当たっている。付近の当時の天候は晴れだった。
防衛省によると、オスプレイは米軍岩国基地(山口県)から嘉手納基地(沖縄県)に向かっていた。宮沢博行防衛副大臣は墜落したとみられる機体について「不時着水をした」と述べた。
屋久島空港には、事故後の午後3時25分ごろ、横田基地所属のオスプレイ1機が着陸。約30分後に離陸した。間もなく1機が着陸し約5時間駐機するなど飛来が相次いだ。防衛省によると、現場確認や支援のための人員を運んだ。県によると、捜索などの影響で定期便2便に2時間程度の遅れが出た。
◇搭乗者数「8人」に再訂正
米軍のCV22輸送機オスプレイが29日に屋久島沖に墜落した事故で、第10管区海上保安本部は30日朝、「6人」としていた搭乗者数を8人に再訂正した。当初は8人と発表し、6人に訂正していた。
■国は原因究明を
屋久島町の荒木耕治町長の話 人命救助が第一。町は情報収集中だが、捜索には全面的に協力したい。国や米軍には原因究明をしっかりしてほしい。
■速やかな救助願う
鹿児島県の塩田康一知事のコメント 乗員が速やかに救助されることを心から願う。県としては今後とも情報収集に努める。
◇オスプレイとは
米海兵隊の主力兵員輸送機。日本にはMV22が沖縄県の普天間飛行場に配備されている。主翼両端のプロペラの角度を変えることでヘリコプターのような垂直離着陸と固定翼機並みの速度で長距離を飛行することができるが、開発段階から墜落事故が相次ぎ、安全性が懸念されている。