携帯発電機が並ぶホームセンター=薩摩川内市(本文と写真は関係ありません)
災害時も電源が確保できるため家庭でも人気の携帯発電機だが、正しく使用しなかったことによる事故が相次いでいる。鹿児島県薩摩川内市では8月、屋内で使っていた夫婦が体調不良で救急搬送され、同市消防局は注意を呼びかけている。
携帯発電機はガソリンやカセットボンベなどを燃料に電気を発生させる装置。ホームセンターでも購入でき、災害時やアウトドアで活用されている。事故で目立つのは、排ガスに含まれる一酸化炭素(CO)などの有害物質によるものだ。
薩摩川内市消防局によると、同市では台風10号が上陸した8月29日、自宅の廊下で使っていた60代夫婦がCO中毒で救急搬送された。稼働から4、5時間ほどして、妻が部屋から廊下へ出た瞬間に倒れ、気付いた夫も119番通報した後に倒れた。すぐに処置を受け、いずれも命に別条はなかった。
予防課の内田州さんは「少し遅ければ命の危険があった」と警鐘を鳴らす。夫は「室内の使用が適切でないと知っていたが、停電で仕方がなかった。これくらいの時間で具合が悪くなるとは」と話したという。
県内では2020年、屋内で使用していた1人が死亡、2人が重症となる事故が起きた。製品事故の情報を調査、分析する製品評価技術基盤機構(東京)によると、同様の事故は全国で発生。屋内では絶対に使用しないよう訴え、屋外でも車やテントの中では同等の危険があるとしている。
内田さんも屋外から延長コードでつないで使うことを呼びかけ、さらに火災予防のため燃料の補充も屋外が望ましいと強調する。「取扱説明書をしっかり読み、便利さだけでなく、危険な部分にも目を向けて安全に使ってほしい」と話した。