被告の初公判が開かれた法廷=23日、鹿児島市山下町の鹿児島地裁(代表撮影)
2023年に鹿児島県霧島市の作業所兼福祉施設で、知人男性を包丁で刺して殺害したとして、殺人の罪に問われた本籍東京都台東区、無職の被告男(68)は23日、鹿児島地裁(小泉満理子裁判長)の裁判員裁判初公判で起訴内容を認めた。検察官の被告人質問には黙秘した。25日結審し、31日に判決が言い渡される。
検察側は冒頭陳述で「自宅から包丁を持ち出して殺害した。強い意志による残虐な犯行で、再犯の恐れは極めて高い」と指摘した。弁護側は「被害者が(施設の)規律に反して飲酒し、トラブルを起こしたことなどにストレスを感じていた。アルコールの影響で、怒りや衝動的な行動が大きく現れた」と主張した。
被告は弁護側の被告人質問で「普段からばかにされるようなことを言われ不満があった。包丁を持ち出して近くの居酒屋で飲酒後、被害者宅に向かった」などと説明した。
裁判官は、交際女性を1993年に沖縄県で刺殺し殺人罪で懲役13年の判決を受けた過去に触れ、「今回の歯止めにならなかったか」と質問。被告は「それ以上に相手の言動が許せなかった」と答えた。
起訴状などによると、被告は2023年7月25日午後7時半ごろから同37分ごろまでの間、霧島市の作業員男性=当時(48)=の自宅で左胸を包丁で複数回刺して失血死させたとされる。男性は施設で暮らし、金城被告も普段から出入りしていた。