事故をおこし歩道に乗り上げ大破した乗用車=11日午後6時40分、鹿児島市下荒田1丁目
11日午後5時55分ごろ、鹿児島市下荒田1丁目の県道で、同市下荒田4丁目、サービス業の女性(84)の乗用車が歩道に乗り上げるなどして、4人をはねた。女性を含む5人が搬送され、姶良市東餅田、職業不詳の男性(37)が間もなく死亡した。鹿児島市の職業不詳女性(48)も意識不明の重体。
鹿児島中央署と市消防によると、現場は鹿児島市電二中通電停近くの交差点。横断歩道を渡っていた鹿児島市の医療事務女性(22)と48歳女性をはねた後、歩道にいた37歳男性と男性の妻(32)をはねた。「歩行者と車が事故した。けが人が複数出ている」と通行人が119番した。
同署は、二中通りを東に向かって走行していた84歳女性運転の車が、交差点を右折する際に歩道に乗り上げたとみている。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の容疑も視野に調べる。
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「道を開けて」「早く救急車に」。11日夕、鹿児島市下荒田1丁目の歩道に車が突っ込み4人が死傷した現場では、救急隊員の指示する大きな声が飛んだ。車は大破し、ガラスやコンクリート片が散乱。ガードパイプは大きくひしゃげた。帰宅時間帯と重なり、買い物客や通行人らは、動揺と混乱の表情を浮かべながら見守った。
目撃者などによると、車は高さ約20センチの縁石を乗り上げ、ガードパイプと植え込みを突き破った。現場はスーパーの目の前で、複数の歩行者を巻き込んだ。店に出入りする客や通行人など多くの歩行者がいて、一時パニック状態になった。
レジ業務中だった女性店員(71)は「爆発音と女性の叫び声が聞こえた。少なくとも2人が車の下敷きになっていた。ただ事ではないと思った」。買い物をしていた近くの50代主婦は「衝撃で店が大きく揺れた。身近でこれほど悲惨な事故が起こるとは。痛ましい」と声を震わせた。
スーパーの隣にあるビル1階は整骨院。事故当時、従業員と患者の計6人がいた。店頭のガラスが一部割れるなどしたが、けが人や店内の被害はなかったという。従業員男性(41)は「植え込みを突き破るメリメリという音がした直後、ドーンという衝撃音がした。店に大きな被害はなかったが、巻き込まれた人は大丈夫だろうか」と案じた。