子どもの背中に褒美の年餅を乗せるトシドン=31日午後7時10分、薩摩川内市下甑町手打
鹿児島県薩摩川内市の下甑島で31日、国の重要無形民俗文化財「甑島のトシドン」があった。神様に扮(ふん)した男性たちが、長い鼻と口が大きく裂けた仮面をつけ子どものいる家庭を訪れ、怖さにおびえる子どもたちを厳しく叱りつつも、長所は優しく褒めて励ました。
大みそかの伝統行事で、今回は島内6保存会のうち4保存会で実施。同市下甑町手打の本町集落では、仮面姿の3人が「おるか、おるか」「言うことを聞かん子はおらんかー」と大声を出しながら来訪。日常の悪い行いを戒められた子どもが「約束を守ります」と答え改心を誓うと、年餅と呼ばれる大きな餅を背中に乗せて渡し、立ち去った。
本町保存会の廣庭吉辰会長(71)は「少子高齢化が進み、子どものいる家庭が減ってきているが、今年も実施できて良かった」と話した。