発掘後、獅子島の海岸でポーズを決める(左から)アーサーさん、たけるさん、ショーゴさん、サクラさん、筆者=5月6日、長島町
■サラリーマン化石ハンター・宇都宮聡さん
NHK・Eテレの子ども向け教育バラエティー番組「天才てれびくん」の景山潮ディレクターから、鹿児島県長島町獅子島での調査に「てれび戦士」の子役を化石ハンターとして参加させてもらえないかと連絡がありました。まずは長島町教育委員会の許可を得て、ゴールデンウイーク後半、島内各地で調査を兼ねたロケ撮影をしました。
参加したのは、アーサーさんとサクラさん。お笑い芸人「東京ホテイソン」のたけるさんとショーゴさんが2人をサポートし、私は4人が採集した化石を鑑定する役目です。
ターゲットの化石は、恐竜とアンモナイトです。調査地は島の中央部にそびえる七郎山中腹。あいにくの天気でしたが、林道工事で出た土石を集めた広場で、安全を確認しながら実施しました。
白亜紀の泥岩からは二枚貝や巻き貝がどんどん出てきました。しかし恐竜やアンモナイトは簡単に見つかりません。雨脚が強まる中、4人は石を割り続けました。幾つも空振りした後、サクラさんとアーサーさんが3センチほどの特徴的な殻を持つ化石を差し出しました。驚きました。蚊取り線香のような巻き方の「ストモハミテス」という、珍しい異形巻きアンモナイトに似ていたからです。
後日、アンモナイトの専門家である深田地質研究所(東京)の相場大佑博士に鑑定を依頼したところ、「ストモハミテスで間違いない。全貌が見えない謎多きアンモナイトで、新種の可能性もある!」とコメントをもらいました。
獅子島にはまだまだ未知の化石が眠っていることを、てれび戦士の頑張りが教えてくれました。
【プロフィル】うつのみや・さとし 1969年愛媛県生まれ。大阪府在住。会社勤めをしながら転勤先で恐竜や大型爬虫類の化石を次々発掘、“伝説のサラリーマン化石ハンター”の異名を取る。長島町獅子島ではクビナガリュウ(サツマウツノミヤリュウ)や翼竜(薩摩翼竜)、草食恐竜の化石を発見。2021年11月には化石の密集層「ボーンベッド」を発見した。著書に「クビナガリュウ発見!」など。
(連載「じつは恐竜王国!鹿児島県」より)