山道に誤進入 バス横転10人搬送 運行会社「カーナビ導入検討」 運転手の経験任せ、業界に浸透せず 「細道案内され危険」との声も

2023/08/25 11:27
事故当時のまま撤去されていないバス=23日、鹿児島市春山町
事故当時のまま撤去されていないバス=23日、鹿児島市春山町
 鹿児島市春山町の県道で貸し切りバスが横転した事故で、バスを運行する九州みやび観光の本村雅樹社長(47)は24日取材に応じ、正規経路の逸脱防止策として、大型車用のカーナビゲーション設置を検討しているとした。

 同社の貸し切りバスには、カーナビが設置されていなかった。大型車両に対応したナビは少なく、貸し切りバス業界は運転手の経験や技量に委ねられるのが主流。バスの高さや幅を想定したルート検索ができるサービスも開発されているが、浸透は道半ばだ。

 「自家用車用のナビだとバスの通れない細道を案内されかえって危険」。霧島観光交通(鹿児島市西千石町)は“ナビ頼り”にしない理由をこう説明する。事前の下見などルート確認を徹底。間違えた際はすぐに停車し事業所に報告、指示を受ける。横転事故について、担当者は「引き返せないところまで進むのがまず信じられない」と首をかしげる。

 ある貸し切りバス会社の運行管理者は「ナビは最短距離を示すが、観光を楽しめるルートも大切」。別の運行管理者は「スマホのマップも普通車が前提で、バスが通れるか分からない。体で道を覚えることを重んじている」と明かす。

 大型車の道案内機能を備えたナビを設置し、安全対策を取る動きも。ハロー観光バス(同市上荒田町)は全ての貸し切りバスに搭載。新留広志代表は「その都度確認しながら進める安心感がある」と説明する。

 経路探索サービスを提供する「ナビタイムジャパン」(東京都)は、大型バスが通行可能なルートを検索するナビアプリを展開。高架など大型車にとって危険な場所を確認できるマップや、車種ごとの事故発生状況を示したマップも開発した。広報担当者は「行程作成や道の把握は個人の経験頼りになりがち。安全な運行に役立ててほしい」と話した。

 事故は19日午前8時半ごろ発生。男性運転手(62)と国分高校サッカー部員30人が乗ったバスが横転し、生徒10人が搬送された。2人が腰やろっ骨を折る重傷。

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