メジャーでアクリル板の高さを調べる調査員(左)=9日、鹿児島市のアミュプラザ鹿児島
鹿児島県内は新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、忘年会シーズンの師走の街には人出が戻りつつある。県が感染防止対策を評価する「第三者認証」を飲食店選びの参考にする人もいるだろう。どんな基準をクリアすれば、安心なお店のお墨付きがもらえるのか。制度について知りたいとの読者の声を受け、調査に同行した。
9日午後3時半、夜の営業を控えた鹿児島市のイタリア料理店「アリオリクッチーナ鹿児島」(アミュプラザ鹿児島内)に、県の委託を受けた男性調査員が現れた。店長とあいさつを済ませると早速、消毒液を手に付け、においを嗅ぐ。「アルコールかどうかの確認です」。次亜塩素酸を使う所もあるが、店頭での手指消毒はアルコールが条件。配置された消毒液が、客や従業員の動線に合っているかも入念に確認した。
続いてメジャーを取り出し、座席の距離や飛沫(ひまつ)を防ぐアクリル板の寸法を測り始めた。あるテーブルの前で調査員が口を開いた。コロナ前は4人掛けで利用していたが、1人用に充てていた席。「アクリル板を立てれば複数人座れますよ」と助言した。
対面でも横並びでも、客同士の間隔は1メートルは必要。1メートル未満の場合は席を間引くか、座った時に目を覆う程度の高さのアクリル板で仕切る。席の配置によって求められる対応が違うため、店だけで判断するのは難しそうだ。「少しでも多く席を確保しつつ、基準をクリアできる方法を伝えていけたら」と調査員。客が自分で料理を取りに行くコーナーでは、使い捨て手袋が置かれているかも点検した。
スマートフォンで写真を撮りながら20分ほど店内を見回った後、聞き取りに。チェックシートを手に、営業時間外では分からない料理の出し方や備品消毒のタイミングなどについて店長から説明を聞いた。調査は1時間ほどで終了。換気、トイレの利用法、BGMを抑え大声での会話を避ける対策など47項目のうち必須の37項目を満たせば、10日前後で認証ステッカーが届くという。店長は「店の雰囲気や営業実態に合わせ、どんな対策ができるか引き続き考えたい」と話した。
県の新型コロナウイルス感染症対策室によると、8日時点の認証店は1946店。同室の岩元慎二参事(50)は「申請が落ち着いている今なら日程調整がしやすく、スムーズに審査が進む。ぜひ積極的に認証を取得してほしい」と呼び掛ける。