飲酒検問をする警察官=9日、鹿児島市(本文と写真は関係ありません。画像は一部加工してあります)
飲酒の機会が増える年末年始に合わせ、南日本新聞「こちら373(こちミナ)」は飲酒運転のアンケート調査をした。約5人に1人が自転車の飲酒運転経験があると回答。酒が体内に残っていた時、自動車や自転車の運転をやめたとの回答は7割強にとどまった。
アンケートは20~24日、こちミナと「みなみパス」登録者にインターネットで実施。鹿児島県内を中心に、2547人が回答した。無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なる。
飲酒運転をしてはいけないとの回答は自動車が99.7%、自転車が96.2%。一方、飲酒運転の経験があると答えたのは、自動車が443人(17.4%)、自転車が479人(18.8%)に上った。運転目的は「店や知人宅で飲酒をして自宅に帰るため」が最多で、「飲酒後に運転する用事ができた」「自宅で晩酌をして酒やつまみを買い足すため」が続いた。「10年以内にした」に限定すると、自転車は自動車より約6.5倍多い130人だった。
飲酒翌日など酒が抜けていない時に運転したことがあると回答したのは自動車474人(18.6%)、自転車は375人(14.7%)。お酒が体内に残っているか分からず運転をやめたのは自動車1807人(72.9%)、自転車1684人(71.3%)だった。
■自転車、ハードルの低さ浮き彫り
「自分は大丈夫」「少しくらいなら」。アルコール検知器を使った飲酒検査が12月から「白ナンバー」の自動車を使う事業者にも義務化されるなど飲酒運転に関する法整備が進む一方、南日本新聞「こちら373(こちミナ)」のアンケートでは自転車や二日酔い状態での飲酒運転へのハードルの低さが浮き彫りとなった。専門家は「知識不足による認識の甘さが背景にある」と指摘する。
全回答者が自動車の飲酒運転を法律違反だと認識していたのに対し、自転車が禁止されていることを知らないと答えた人は76人。自転車で飲酒運転をして「何も思わなかった」と答えた人は114人に上った。
道交法は自転車の飲酒運転を禁止している。酒酔い運転には「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」。重大な事故を起こせば運転免許停止の可能性もある。警察庁はこれまで処罰対象外だった酒気帯び運転にも罰則を新設する方針だ。鹿児島県警の鮫島勝志交通指導課理事官は「自転車は車の一種。飲酒後は絶対に乗らないで」と訴える。
飲み過ぎた翌朝の「知らぬ間に飲酒運転」にも注意したい。二日酔いの認識があるにも関わらず運転をした849人の半数が「ある程度時間が経過していた」、3人に1人が「一度寝たから大丈夫」と回答。「出勤や通学でやむを得ず」との回答も目立った。
アルコール問題に詳しい森口病院(鹿児島市)によると、体内に酒が残る時間は飲酒量や体格で個人差がある。純アルコール量(グラム)を「飲んだ酒の量(ミリリットル)×アルコール濃度×0.8」で算出。1時間で分解できるアルコール量(グラム)を「体重(キロ)×0.1」で計算し対比すると目安が分かる。60キロの人が5%のビール500ミリリットルを飲むと体内の純アルコール量は20グラムになり、分解に3時間半程度かかることになる。
田中大三院長は「感覚に頼るのではなく、目安を知ることが大事。算出できるアプリや検知器も参考にしてほしい」と話した。