奄美の森は「命の宝庫」 住用・三太郎峠の夜 世界遺産目指す島でアマミノクロウサギ、リュウキュウコノハズクにも遭遇

2021/05/08 22:00
道端に現れたアマミノクロウサギ。草食性で主に夜間活動する
道端に現れたアマミノクロウサギ。草食性で主に夜間活動する
 世界自然遺産登録を目指す奄美大島の奥深い森は、希少・固有種をはじめ多彩な動植物を育む「命の宝庫」だ。中でも奄美市住用の三太郎峠の旧道(約12キロ)は夜間観察の人気スポット。4月下旬、元環境省奄美野生生物保護センター自然保護官補佐の木元侑菜さん(30)の案内で巡った。

 車で希少生物をひかないよう時速10キロ以下で約20分。道中央を照らすライトに黒褐色の動物が浮かんだ。耳と手足が短い。アマミノクロウサギだ。ふんをしている最中だった。ハブを警戒し、見通しの利く所で用を足す習性があるらしい。「こんな時にも事故に遭う」と木元さん。数メートルまで近づくと草むらに逃げ込んだ。

 「コフッ、コフッ」。あちこちに響く鳴き声はリュウキュウコノハズクの雄。雌は「ミャッ、ミャッ」とネコのように鳴く。声を探すと木の枝にとまっていた。金色の大きな目に吸い込まれてしまいそうだ。

 さらに進むと、樹上で休息中のアマミヤマシギに出合った。月夜によく現れるという。細長いくちばしが目をひく。ルリカケスも見つけた。ライトを照らすと青紫の羽が輝いた。

 「ほら、あそこ」。木元さんが道端を指さした。アマミハナサキガエルだ。カメラを構えると、ぴょんと大きく跳び、茂みに消えた。「日によってはもっといろいろな生き物が見られる」と木元さん。奄美の森の豊かさを実感する3時間半だった。

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