鹿児島市の焼き肉店で今月上旬、窓を閉め切った個室の客3人が一酸化炭素(CO)中毒で搬送された事故は、部屋の上部から吹き付けるエアコンの風が、ガス式のロースターから出る排気の吸い込みを妨げたことが原因とみられることが分かった。消防は、家庭で火力調理器を使う場合も同様の状況が起こり得るとして、「こまめに窓を開け換気を」と呼び掛けている。
鹿児島中央署などによると、事故は11日夜、店舗2階の個室で飲食中の30~60代の男女3人が、テーブルに伏したり、床に倒れたりしているところを店員が発見。3人とも病院に搬送され、CO中毒と診断された。命に別条はなく、軽症だったという。
現場を調査した九州産業保安監督部(福岡市)によると、事故当時、個室内はエアコンが「強」で付いていた。その風がロースター上部の空気に当たり、本来天井のダクトから排出されるCOなどが拡散し、部屋に充満したとみている。窓も閉め切られ、空気の逃げ道はなかった。
酸素が不足すると徐々に不完全燃焼が進み、COが増える恐れもある。同監督部は「家庭でも電気式のホットプレートなどを除き、ガスや火鉢といった火力調理器を使う場合は換気に注意が必要」としている。
鹿児島市消防局によると、部屋にCOが充満した場合の中毒初期は、吐き気や頭痛、眠気など風邪に似た症状が出る。体調に異変を感じたら風邪や酒酔いと決めつけず、全員で部屋から出たり、互いに同じ症状が出ていないかを確認し合うことが重要と指摘する。
軽度なら、新鮮な空気を吸うことで症状が改善されることも多いという。救急車を呼ぶかどうか迷う際は、米盛病院(鹿児島市)の24時間救急相談ダイヤル(#7099)で、緊急性を確認することを勧めている。
中村徳明救急課長は「COは臭いもなく、気付いた時には手遅れという事態も想定される。少しでも異変を感じたら声を掛け合うなど、すぐ行動してほしい」と話した。