「磯釣りの王様」寒グレ。今年はちょっと様子が違う。水温が下がらずエサ取りがうようよ。温暖化の影響だろうか

2022/02/05 11:03
ウキフカセ釣りで釣り上げた寒グレ=1月中旬、薩摩川内市甑島里
ウキフカセ釣りで釣り上げた寒グレ=1月中旬、薩摩川内市甑島里
〈あゆLOVEフィッシング―上園あゆみ〉

 暦の上で、4日は立春。とはいえ、まだまだ冬の寒さが身に染みる季節。寒い季節の魚は、寒魚と呼ばれ「寒ブリ」や「寒ビラメ」など春の産卵に向けて栄養を体に蓄えるため、脂が乗り極上の味わいです。

 鹿児島では、釣りのターゲットとして人気の「寒グレ」もその一つ。良質なエサを食べるグレ(メジナ、クロ)は、見た目の黒さとは裏腹に身は真っ白で、弾力のある肉厚な身と上品な香りとほどよい脂のりが特徴です。

 グレ釣りは「磯釣りの王様」と呼ばれるほど釣り人からの人気が高く、特に鹿児島は全国大会の決勝開催地にも選ばれる豊かなフィールドを有しています。グレは警戒心が強く、とても賢い魚。人の影の動きや、足音などの気配を感じることで、エサに食いつかなくなることもあるとか。この難しくて繊細な魚をどう攻略するのか、という奥深さと、細やかな仕掛けでスリリングにやり取りする引き味の良さも人気の秘訣です。

 さて、グレを狙う場合、釣り場のパターンは主に三つ。堤防や岸壁、瀬渡し、船上から狙います。県内で特に人気なのは瀬渡し釣り。歩いて行けない沖の離れ小島や岩礁に、船で渡してもらう釣りです。県内には、瀬渡しを専門で行う船も多くあり、休日には多くの磯釣り師で賑わいます。私も今年は、秋目、甑島、枕崎と各地の瀬渡し船に乗ってグレ釣りを楽しんでいますが、実は今年のグレ釣り、少し様子が違うんです。

 冬にグレ釣りをするのは、今の時期がおいしいからというのはもちろん、邪魔をしてくる小魚の活性が水温の低下と共に下がり、グレだけを狙いやすくなるからという理由もあります。しかし、今年は水温が下がりきらず、まだまだエサを取る魚が多いので、釣果がなかなか上がらないのです。これには船長さんを始め、多くの釣り人が頭を抱えています。

 地球温暖化の影響なのか、海流の変化なのか。いずれにせよ、このまま水温が下がらなければ、残念ながら今季は3月で終了。楽しみにしていた釣り人にとっては、なかなか厳しいシーズンとなりそうです。

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