特攻基地のあった知覧 給水塔や弾薬庫 戦争遺跡保存へデータ収集 唯一現存の「疾風」も 南九州市と東文研が覚書

2022/07/21 12:43
旧陸軍知覧飛行場給水塔の近くに設置された計測機器=南九州市知覧町郡
旧陸軍知覧飛行場給水塔の近くに設置された計測機器=南九州市知覧町郡
 鹿児島県南九州市は20日、旧陸軍知覧飛行場の戦争遺跡など市指定文化財の保存に関する調査研究のため、国立文化財機構東京文化財研究所(東文研)と覚書を結んだ。知覧特攻平和会館が所蔵する資料と併せ、温度や湿度などのデータを収集。劣化原因の究明や保存技術の研究に役立てる。2026年度まで。

 東文研の建石徹・保存科学研究センター長によると、近代の文化遺産はコンクリートや石油製品といった伝統的な文化財にはない材料が使われるなど、保存に新たな手法が求められる。

 同市知覧町郡には旧飛行場給水塔や弾薬庫などの遺跡が点在する。今回、給水塔の近くに計測機器を設置し、通年でデータを計測。周辺環境が劣化の進行に及ぼす影響を調べる。また、唯一現存する旧陸軍四式戦闘機「疾風(はやて)」や、特攻隊員の遺書など同会館が所蔵する資料の保存の在り方についても検討する。

 市役所で塗木弘幸市長と覚書に調印した齊藤孝正・東文研所長は「ここで得られた知見は、広く近代の文化財保存に資するものと考える。モデルケースとして発信したい」と話した。

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