おいしいのに棄てるのもったいないから…「未利用魚」詰め合わせ、月1配送へ 定置網漁業者から消費者に直販

2023/07/28 08:36
市場に出回らず廃棄される未利用魚など。左奥から反時計回りにツバメウオ、コバンザメ、ホウボウ、アヤメエビス、シログチ、アイゴ、ヤマトイトヒキサギ(昌徳丸提供)
市場に出回らず廃棄される未利用魚など。左奥から反時計回りにツバメウオ、コバンザメ、ホウボウ、アヤメエビス、シログチ、アイゴ、ヤマトイトヒキサギ(昌徳丸提供)
 定置網漁を営む昌徳丸(鹿児島県肝付町)は、市場に出回らずに廃棄される未利用魚を含む魚の詰め合わせを消費者に直販する月1回の定期便を10月から始める。事業担当の福留慶さん(29)は「未利用魚の販売を通じて付加価値を高めていきたい」と話す。

 定期便は1回7食分(約2キロ)で4550円。7種類の旬の魚を冷凍の切り身で提供。焼くだけ、揚げるだけと簡単に調理できるよう、いくつかの切り身には味やパン粉を付けて加工する。見た目が特徴的な未利用魚に親しんでもらうため、それぞれの名前やイラスト、お薦め調理法を書いたラベルを同封する。

 未利用魚とはサメ類など漁獲量が安定せず、認知度が低いため廃棄される魚を指す。同社では年200トンほど水揚げのうち約5%が未利用魚で、1日当たり20~30キロ。漁獲の全体量は年々減少しており、資源の有効活用を迫られている。

 当初は飲食店や鮮魚店に未利用魚を出荷していたが、小規模な個人経営店が多く、販売量の拡大が課題。また、漁がある日の早朝に仕分け作業をして魚種や量が分かるが、不用な未利用魚はすぐに廃棄するため、消費者が未利用魚を選んで購入するのも難しいという。

 課題解決に福留さんは事前受注型の定期配送を発案。鮮魚店の出水田鮮魚店(鹿屋市)に加工と発送を委託し実現させた。

 商品は販売サイト「COLOR ME」で3カ月更新で販売するほか、1カ月分ずつの注文もできる。送料は別になるが、出水田鮮魚店か出水田食堂(鹿児島市)で受け取れば無料になる予定。8月11日からはネットの「Makuake」で試験販売する。「味はおいしいのに食べられないのは惜しい」と福留さん。未利用魚を消費者の“魅了魚”にしたいと意気込む。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >