特攻隊員の遺書を朗読する高校生=15日、南さつま市の万世特攻平和祈念館
終戦から79年となった15日、鹿児島県南さつま市の旧陸軍万世飛行場から出撃した特攻隊員の遺書の朗読会が、万世特攻平和祈念館(同市)であった。家族や大切な人に伝えたかった隊員の思いを、同世代の高校生らが朗読し平和の尊さを訴えた。
朗読会は、隊員と年齢が近い高校生の声で語り継ぐことで多くの人の記憶に刻まれるよう願い2021年に始まった。今年は1日からの特別企画展に展示している北海道・東北出身の隊員18人の遺書や手紙を、鹿児島純心女子高校(鹿児島市)と甲南高校(同)の放送部員8人が読み上げた。
鹿純心1年永田真子さんは病気の父親を気遣いながら決意を述べる隊員の手紙を読んだ。「自分のことより父を思う丁寧な文章に心打たれた。立派なたたずまいや姿勢が悲しくも素晴らしい」。
母宛ての手紙を朗読した甲南高1年上野莉子さんは「元気で征(い)きます」という複雑な気持ちであろう一文をどう読むか迷いつつぐっと力を込めた。「尊い犠牲があり、平和な今がある。忘れてはならない隊員の思いを高校生の声でつないでいきたい」と話した。
朗読は2回あり、計約270人が来場した。地元の金峰学園6年川畑陽菜さんは「ここからいろいろな地域の方が飛び立ったと知り悲しくなる。二度と戦争をしてはいけないと思う」と語った。