
新型コロナウイルスの感染状況を調べるPCR検査=23日、鹿児島市の米盛病院(写真と本文は関係ありません)
新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行後、毎日の感染者発表が週1回の「1定点当たり」に変わり、「どのように理解していいか分からない」との質問が南日本新聞「こちら373」に寄せられた。鹿児島県内で感染拡大するインフルエンザも同じ「定点把握」で流行の動きを捉えている。県は「数字の推移を見て、手洗い、換気などの感染対策に生かして」と呼びかけている。
新型コロナはもともと全ての医療機関が感染者全員を報告、毎日発表していた。5類移行に伴い、一部の医療機関による定点調査に切り替わった。「定点医療機関」は、発生動向の観測用に都道府県が選定し全国に約5000ある。それぞれの定点が月曜日から日曜日に確認した感染者の合計を、国が翌金曜日に公表する。
県は91カ所を指定。保健所管内ごとに鹿児島市23、姶良11、鹿屋8など人口や施設の分布を考慮して選んでいる。23日公表した12~18日の1週間の1定点当たり感染者9.6人は、期間中の報告総数874人を定点数91で割った平均値。保健所別の1定点当たりは、各管内の総数を定点数で割った数字だ。地域間で比較するより、自分の住む地域の推移を追うことがポイントとなるという。
県健康増進課の黒崎光生課長は「定点把握は数の増減で流行の傾向をつかんでもらうための指標」と解説した。
インフルも同じ91医療機関が定点となっており、同期間の1定点当たりの感染者は10.55人。10人以上で注意報、30人以上で警報といった基準があり、県は22日、発生動向調査を始めた1999年以来初めて6月に注意報を発令した。
一方、新型コロナの場合は、感染対策を呼びかける根拠となる基準はない。厚生労働省が検討を進めているが、担当者は「コロナは今後の流行の状況が分からず、インフルのようなデータの積み重ねもないため、簡単には定められない」と説明した。
厚労省は、2022年10月から5類移行前までの定点機関の報告数を抜粋してホームページで公表している。例えば、県内で感染者が最多だった「第8波」の23年1月5日を含む同月2~8日は、1定点当たり感染者数38.89人となっている。感染対策の緩和などにより単純には比較できないが、参考になりそうだ。
県は感染動向をホームページなどで発信。「鹿児島県感染症情報 週別データ」と検索すると、見ることができる。

〈別カット〉新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査=23日、鹿児島市の米盛病院(写真と本文は関係ありません)