当選確実となり、万歳する三反園訓氏(左)=31日午後10時44分、鹿児島市谷山中央3丁目
31日投開票の第49回衆院選で10人が立候補した鹿児島県の4選挙区は、1区と4区を自民前職が制し、2区は無所属新人、3区は立憲民主元職がそれぞれ当選した。現行の小選挙区比例代表並立制を導入した1996年以降、保守王国・鹿児島で自民が全議席の半数にとどまるのは初めて。1区は比例九州から回った宮路拓馬氏(41)、2区は元鹿児島県知事の三反園訓氏(63)、3区は野間健氏(63)が、いずれも前回議席を獲得した前職を破った。4区は森山裕氏(76)が制した。3区の自民前職小里泰弘氏(63)は比例で復活当選した。2区の自民前職、金子万寿夫氏(74)は比例と重複立候補していないため、落選が決まった。比例九州ブロックで自民名簿の単独2位だった新人の保岡宏武氏(48)=鹿児島市=は初当選を果たした。小選挙区の県内投票率は57.71%で、前回2017年を1.62ポイント上回った。
■1区
戦後初となる1区の与野党一騎打ちは自民前職の宮路拓馬氏(41)が、立憲民主前職の川内博史氏(59)を振り切り、当選を果たした。
比例九州から1区に初挑戦した宮路氏は、地元議員や友好団体の協力を受け組織戦を展開。小泉進次郎前環境相、野田聖子こども政策担当相らが次々と駆け付け、若者や女性ら無党派層にも浸透した。党公認争いが長引いたしこりは、比例九州に回った保岡宏武氏(48)が名簿2位となったこともありマイナス材料にならなかった。
初の選挙区連勝を狙った川内氏は無党派層に政権交代を訴えたが風を起こせなかった。
■2区
元鹿児島県知事で無所属新人の三反園訓氏(63)が、自民前職の金子万寿夫氏(74)、共産新人の松崎真琴氏(63)の三つどもえの争いを制し、初当選した。
三反園氏は知名度を生かし草の根活動を展開。一部の自民党員が水面下で戦いを支え保守層に支援が広がった。1年3カ月続ける、つじ立ち効果もあり、地元の南薩に加え谷山でも票を伸ばした。
金子氏は組織戦と並行して、6月中旬から地元に張り付く「どぶ板選挙」で支援を呼び掛けた。しかし故郷の奄美でも票が流れ、及ばなかった。野党統一候補の松崎氏は、共闘効果が限定的だった。
■3区
立民元職の野間健氏(63)が、自民前職の小里泰弘氏(63)との一騎打ちを制し、4年ぶりに国政への返り咲きを果たした。
野間氏は年中無休で“草の根活動”に徹し、小里氏が地盤とする北薩など旧4区の女性や高齢者らに広く浸透した。3区内で2番目に有権者が多い姶良市のほか、出水市、阿久根市で大きく票を伸ばした。
小里氏は農林水産振興などの実績を強調。活動拠点とする大票田・薩摩川内市で自民友好企業・団体の支持を得て組織戦を展開したものの、野間氏に前回の6000票を上回る約8000票差を付けられた。
■4区
自民前職の森山裕氏(76)が、社民新人の米永淳子氏(58)、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」新人の宮川直輝氏(48)を大きく引き離し、7度目の当選を果たした。
森山氏は、党国対委員長として4年余り政権を支えた実績を強調。旧市町村単位の党地域支部を中心に、組織戦を展開し、終始戦いを優位に進めた。
元鹿屋市議の米永氏は女性票の取り込みを図ったほか、西之表市馬毛島の基地化反対、格差や貧困の解消を訴えたが、厚い保守地盤に阻まれた。宮川氏は知名度不足もあり支持を広げられなかった。