空席が目立つ市民説明会の最終回=西之表市民会館
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転と自衛隊基地整備計画を巡り、八板俊輔市長が防衛省に提出した確認事項に対する同省回答を受けた市の説明会は22日、全7回の日程を終えた。計画について考えてもらう狙いだったが、各回とも空席が目立った。
八板市長は市議会9月定例会を「計画への考えを述べる一つの節目」としており、態度表明前の市民との直接対話は実質的に最後の機会だった。16日からの説明会には延べ約300人が参加。会場の市民会館は最大400人入るが、20人にとどまる日もあった。
各回とも計画反対の市民が手を挙げる場面が多く、航空機騒音の懸念や八板市長の政治姿勢を問う意見が相次いだ。市側は防衛省の考え方の説明に終始。八板市長は「市民の意見を参考に、最後は首長の責任で(計画の是非を)判断する」と繰り返した。
市長選で計画反対を掲げたことから、「公約違反」として、計画の賛否を問うための住民投票や出直し市長選についての質問も出た。八板市長は「考えていない」と否定した。
出席した50代女性は「これで市民の意見を聞いたと言えるのか。ポーズだけなら防衛省と同じやり方だ」。別の50代男性は「『基地建設は決まったことだ』とよく耳にする。市民に諦めがあるから参加が少ないのではないか」と話した。
市は説明会開催に当たり、幅広い声を拾い上げるため、会場に意見箱を設置。録画を市ホームページで閲覧できるようにした。だが意見提出した参加者は全体の約2割で、動画の閲覧回数も第1回こそ200を超えたものの、その後は急減している。
22日の最終回を終えた八板市長は取材に「賛成、反対それぞれの意見を聞くことができた」と成果を強調。「諦めや迷いの声を聞くが、思考を停止せず、市民も私も責任を持って対処したと次代に言えるようにやらなければ」と述べた。