上村好男さん
胎児性水俣病患者の上村智子さん(1977年に21歳で死去)の父で、患者団体「水俣病互助会」会長の上村好男(かみむら・よしお)さんが5日、熊本県水俣市の病院で死去した。88歳。鹿児島県伊佐市出身。葬儀・告別式は近親者で行う。
53年に水俣市に移住、56年に長女智子さんが誕生した。重症で寝たきりだった智子さんが母親に抱かれて入浴する様子を、米国の写真家、故ユージン・スミスさんが撮影した写真「入浴する智子と母」は、水俣病の被害を世界に伝えた。
親子で原告として参加した水俣病第1次訴訟は、原因企業チッソの賠償責任が認められた。2014年から水俣病互助会会長、17年から水俣病被害者・支援者連絡会の会長も務め、被害者救済に力を尽くした。関係者によると、近年は体調を崩し、入退院を繰り返していた。
智子さんの遺品を納めた水俣市の「乙女塚」で開かれる慰霊祭に毎年参列していたが、今年5月は体調不良で欠席。「若い世代が水俣病の真実を伝え、乙女塚をしっかり守ってくれるよう期待する」とのメッセージを寄せた。