新年度もよろしくお願いいたします
■「俳優・迫田孝也のオモ語り」=南日本新聞2023年4月9日付
その昔、鴨池球場にロッテのオープン戦を見に行ったことがある、にわか野球ファンの迫田です。先日行われたWBC(野球の世界一を決める国・地域別対抗戦)では盛り上がらせてもらいました。
まあ野球に限らずサッカー、ラグビー、バレーボール、水泳、卓球などいろんな世界大会を見ては、勝手に盛り上がって勝手に団結して勝手に明日からも頑張るぞっていうエネルギーをもらっている私ですが、今回のWBCではメジャーリーグで活躍するダルビッシュ有選手の、チームへの関わり方にすごく興味を持ちました。
今大会中は万全のコンディションではなかったようなのですが、今までの経験やデータに裏付けされた分析結果をチームメイトと共有したり、後輩を誘って食事会を開いたり、プレー以外での存在がすごくかっこいいなぁと思ったんです。
みんなで輝いてこそいい結果につながる、こんな当たり前のことが難しいんですよね。自分のプレーに不安やいらだちもあったと思いますが、ぐっとこらえて人の後押しができるって本当に素晴らしいことです。じゃあ自分の輝きはどうしたらいいんだ?というと、再びダルビッシュ選手の言葉が響きます。
彼ほどの選手でも、若い頃は負けた時「肩が痛かったから」とか、自分に言い訳をして逃げていたそう。ある夜「今までの20年の人生って一瞬だったよなあ、じゃあ40歳までの20年だって一瞬で過ぎるよな…今のままじゃダメだ」。だから40歳で野球をクビになり、他に仕事も何もない自身を想像してみたというのです。「その時、目の前に神様が現れて『一度だけチャンスをあげるから20歳に戻っていいよ』って言われたら絶対に努力しますよね。それで『その夜』に戻ってきたことにしようと考えたんです。そこから何かが変わりました」
この話を動画サイトで知って、自分も俳優という仕事を失った時のことを想像してみました…めちゃくちゃ怖いっ! 今までなんとなく過ごしていた時間がなんともったいなかったことか…。今、目の前にある一つ一つの事への取り組み方がいやでも変わりそうです。皆さんも想像してみてください。当たり前のことを当たり前にやるって難しいけど、もうすでに今までの自分とはちょっと変わった自分がそこにいませんか?