犠牲者5000人超「どれだけ血を流せば…」 イスラエル出身の女性、祖国とガザの平穏祈る ガザ大規模戦闘2週間

2023/10/21 08:28
イスラエルとガザの平和を願い、仏に拝む佐藤ヤエルさん=19日、いちき串木野市の冠嶽山鎭國寺頂峯院
イスラエルとガザの平和を願い、仏に拝む佐藤ヤエルさん=19日、いちき串木野市の冠嶽山鎭國寺頂峯院
 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの大規模攻撃に端を発したイスラエルとの戦闘は、21日で2週間となった。双方の犠牲者は民間人を含め5000人以上に上る。鹿児島県内に住む出身者らは「どれだけ血を流せば終わるのか。冷静な判断で戦争を終わらせて」と一日も早い平和を願う。

 「迫害された歴史があるユダヤ人は誰よりも平和への思いが強い」。イスラエル北部ハイファ出身でいちき串木野市の寺に暮らす佐藤ヤエルさん(61)は、祖国によるガザ地上侵攻の可能性が高まる現状に胸を痛める。「怒りの感情のまま攻撃するのではなく、慎重な手段を選んでほしい」と力を込める。

 1948年のイスラエル建国後、4度の中東戦争があり、ヤエルさんは幼いころに2度戦争を経験した。「アラブ人の言い分も分かるが、ユダヤ人にはイスラエルしか居場所がない」。心境は複雑だが、相手を尊重する仏教の教えを守り、祖国とガザ両方の平穏を祈り続ける。

 エジプト・カイロ出身の鹿児島大学名誉教授イブラヒム・ヒッシャムさん(66)=鹿児島市=は「先が全く見えない」。イスラエルが地上侵攻すれば「アラブの国々はパレスチナを守ろうとする。第3次世界大戦になる」と危惧する。

 「パレスチナの土地をイスラエルが占領する前の状態に戻してほしい。一つの国の中でパレスチナ人とユダヤ人が一緒に住めばいい」と共生を訴える。

 ロシアが国連安全保障理事会に提出した停戦決議案について、「日本はイスラエル支援の米英に同調し反対した」と落胆。「米国の足元ばかり見ないで、幅広い視点で問題を考えて行動してほしい」と求めた。

【ガザ地区】イスラエルとエジプトに挟まれた地中海沿いの細長い地域で、種子島より小さい約365平方キロに約216万人が密集する。イスラエルが1967年の第3次中東戦争で占領し、2005年9月に完全撤退した後も外部境界の管理を継続。イスラム組織ハマスが07年6月に武力制圧し実効支配している。

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