JR吉松駅の運輸センター廃止と無人化を惜しむ記念式典=湧水町川西
JR九州吉松駅(鹿児島県湧水町)の運転士の拠点「吉松運輸センター」が3月末で廃止される。経営効率化の一環。国鉄OBや地域住民ら約80人が13日、駅前の広場に集まり、「運転基地廃止記念式典」を開いた。1903(明治36)年9月に鹿児島-吉松が開業して118年余。蒸気機関車の車両基地も置かれるなど「鉄道の街」として栄えた歴史に思いをはせた。
肥薩線と吉都線が乗り入れる吉松駅には鹿児島、熊本、宮崎を結ぶ要衝として、車両基地や運転基地が置かれた。55年には旧吉松町の人口約8600人のうち、1500人以上が国鉄職員やその家族だったという。国鉄民営化などを経て、運転基地は92年に運輸センターに改称した。
式典では、OBでつくる「友愛会」会長で、実行委員長の宮園俊彦さん(76)=湧水町北方=があいさつした。子会社に委託して運営していた窓口も前日から閉鎖され無人化されたばかり。「寂しい。1世紀以上にわたって地域の発展に寄与した実績と誇りを胸に、今後も鉄道の発展に貢献しよう」と呼び掛けた。
約40年、国鉄からJRと勤め上げた同町川西の三尾野昌行さん(74)は祖父からの鉄道一家。「車からは見られない美しい風景がある。多くの人に鉄道に乗ってほしい」と話した。