宇都宮さんが獅子島で見つけたボーンベッドの一部分。約20センチ四方の岩の中に10個余りの骨片が埋まっている(▽で指しているのが化石。左下にあるのは大きさを比較するための一円玉)
九州初のクビナガリュウをはじめ、恐竜や翼竜などの化石を次々と発見している化石採集家、宇都宮聡さん(52)=大阪府。宇都宮さんに、恐竜の魅力を聞きました。
―宇都宮さんは3月、鹿児島県長島町獅子島で「ボーンベッド」と呼ばれる地層を発見したと発表して話題になりました。どんな発見だったのですか。
「恐竜などの化石がたくさん含まれた、1億年ぐらい前の白亜紀の地層です。化石を顕微鏡で調べたら、網目のように血管が発達していたことが分かり、大型の恐竜の骨と特定されました」
―1億年前の獅子島にはどんな生きものがいたのでしょう。
「海にはクビナガリュウ、空には翼竜、そして陸には恐竜が暮らしていました。陸海空の生きものの化石が見つかる場所は珍しく、獅子島は化石の宝島です。鹿児島は恐竜王国だったのです」
「私は以前、獅子島で草食恐竜のイグアノドン類の歯の化石を見つけています。大型の草食動物がいれば、肉食動物もいるもの。ボーンベッドの中にはティラノサウルスのような肉食恐竜の骨もあるのでは。そう考えるとワクワクが止まりません」
―これまで発見した大物化石は。
「クビナガリュウ、翼竜、イグアノドン類(以上獅子島)、獣脚類(石川)、モササウルス類(大阪)、スピノサウルス類(和歌山)の骨や歯の化石を見つけました。今回の恐竜で7頭目です」
―なぜそんなに次々と大きな発見ができるのですか。
「アンモナイトを取りに獅子島に行ったら、近くでクビナガリュウを見つけました。その近くで翼竜を見つけ、今度は恐竜です。コツをつかむと芋づる式に見つかります」
―子どもの頃から化石が好きだったんですか。
「生きもの全般が好きで、動物や昆虫をよく飼っていました。化石は、死んでから永遠に形を残すところに興味を持ちました。四国に住んでいた小学6年生の頃、市が主催する化石採集ツアーで、たまたま白亜紀の貝の化石を見つけて、ほめられてうれしかった。それが今も続いています」
―恐竜の魅力は。
「恐竜のように巨大で恐ろしい生きものは今はいないので、想像するのが楽しいです。化石発掘は宝探しの要素があり、アドベンチャーとして楽しんでいます」
【プロフィル】うつのみや・さとし 1969年愛媛県生まれ。大阪府在住。会社勤めをしながら転勤先で恐竜や大型爬虫類の化石を次々発掘、“伝説のサラリーマン化石ハンター”の異名を取る。長島町獅子島ではクビナガリュウ(サツマウツノミヤリュウ)や翼竜(薩摩翼竜)、草食恐竜の化石を発見。2020年11月には化石の密集層「ボーンベッド」を発見した。著書に「クビナガリュウ発見!」など。
(連載「恐竜王国!鹿児島県」より)