教室をカーテンで仕切り、男女別々に着替えるスペースを確保している鹿児島市の八幡小学校
「学校での着替えは何年生から男女別々にするべきなの?」。小学生の子どもがいる鹿屋市の女性から、南日本新聞の「こちら373」にこんな声が届いた。調べてみると、文部科学省なども基準を設けておらず、各学校の判断に委ねられているようだ。県内では、男女別のスペースを設けたくても、空き教室が少なく、確保できない事情もある。教室をカーテンで仕切るなど対応に苦慮する実態も浮かび上がった。
女性は、子どもが小学3年生の時、「体操服を着替える場所を男女で分けてほしい」と学校に要望した。その後、男女別になったが、4年生になると再び同じ教室で着替えるようになったという。
女性は「最近の子は成長が早く、4年生くらいで初潮を迎える子もいる」とし、「運動会のとき、人前で堂々と着替える子がおり、驚いた。普段から男女一緒にしている影響なのかもしれない。3年生以上は男女別にしてほしい」と訴える。
子どもたちからも男女別を望む声が上がる。小学5年女子は「ブラパット付きの下着に変わって男子にからかわれた。恥ずかしい子はトイレや保健室で着替えている」。日置市の小学3年生は「異性が着替えるのを見るのは嫌だ」と明かした。
児童数836人の霧島市の国分小学校は、児童数の増加に加え、特別支援学級も増え、空き教室がない状況。屋上につながる階段の人目に付かないスペースを活用して着替えさせている。鶴田幸伸校長は「着替える教室を準備したいが、学習教室を確保するので精いっぱい。1人1人の声に耳を傾け、個別に対応している」と話す。
鹿児島市の八幡小学校では、高学年は更衣室を利用しているが、更衣室から遠い4年生は教室の中央をカーテンで仕切って男女別に着替えている。トイレや保健室で着替える子どもがいたため、2年前に取り付けた。教卓のある前方スペースでは教員と同性の子どもたちが着替えるよう配慮している。
下古立(しもふるたち)浩校長は「35人学級の導入が進み、特別支援学級も増えていけばますます教室の余裕はなくなる。教室の配置にも知恵を絞りながら何とか対応していきたい」と話した。
立教大学の浅井春夫名誉教授(69)=児童福祉論=は「1年生から分けるのが望ましい」との立場だ。「着替えの時間は、自分の体を大切にする感覚を教える大切な機会。『子どもだから、気にしなくても』で済ませてはいけない」とくぎを刺す。場所がない場合は、時間差で着替えるのも有効だという。「同性でも他人とは着替えたくない子もいるので個別の対応も大切」と助言した。