ANAホールディングス社長に就く芝田浩二さん=東京・港区
【かお】ANAホールディングス社長に4月1日付で就任する芝田浩二(しばた・こうじ)さん=鹿児島県瀬戸内町出身
新型コロナウイルス禍の苦境に立つグローバル航空グループのかじ取りを任された。鹿児島県瀬戸内町加計呂麻島出身。バトンを渡し、会長に就く片野坂真哉社長(66)=鹿児島市出身=は「コロナ危機を乗り越えるための胆力がある」と信頼を寄せる。
海外航空会社との協業などに手腕を発揮してきた国際派で、1982年の入社以来「海外出張は1000回以上」。培ってきた交渉力や調整力を国内事業でも発揮、グループの格安航空(LCC)バニラ・エアの奄美就航を本社側で取り仕切り、古里への入り込み客増加につなげた。
バニラ就航に心血を注いだのは「都市部だけでなく地方でも離島でも公平に低価格便が利用できれば」という島人(しまっちゅ)魂だ。「顧客に寄り添う」とうたうグループ理念にわが意を重ねる。
住用中学校(奄美市)、甲南高校(鹿児島市)を経て、東京外国語大学で中国語を専攻した。79年から2年間休学し、中国・北京の日本大使館で現地スタッフとして働いた経験もある。
ANAとの出合いもこのときだ。国際定期便就航を目指し、各都市にチャーター便を飛ばしていた同社の客室乗務員が異国の空港をさっそうと歩く姿に「衝撃を受けた」。運命を感じ、帰国して復学後、自ら本社ビルを訪ね「国際進出に貢献したい」と売り込んだ。
趣味は釣り。仕掛けに頭を悩ませ、じっと当たりを待つところが「仕事にも通じる」。多忙な毎日だが、美しい奄美の海で釣り糸を垂らすのを心待ちにする64歳。