講演をリモートで配信した護憲派の集会=鹿児島市の県労働者福祉会館
憲法記念日の3日、護憲、改憲を主張する鹿児島県内の各団体が鹿児島市で集会を開いた。憲法施行75年の節目やロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、護憲派は「憲法の原点を考えよう」、改憲派は「危機突破のため早期実現が必要」と訴えた。
県護憲平和フォーラムは、前山口県岩国市長の井原勝介さん(71)のリモート講演を配信した。井原さんは米軍岩国基地(同市)を巡り、国が補助金カットと再編交付金のアメとムチで拡大を進めた経緯を紹介。西之表市馬毛島の米軍機訓練計画などに触れ「一度できたら際限なく強化される。議論を尽くし、悔いない選択を」と助言した。
平井一臣代表(64)は「戦争では市民が被害を受ける。基本的人権や生存権を定めた憲法の精神や内容を考えたい」と呼び掛けた。
かごしま県民交流センターでは「市民のつどい」(同実行委主催)があり、約200人が来場。現代教育行政研究会の前川喜平代表(67)がコロナ禍の子どもや若者をテーマに話した。
美しい日本の憲法をつくる鹿児島県民の会は同センターで「公開憲法フォーラムin鹿児島」を開き、約150人が集まった。東京で開かれた集会をライブ中継し、政党や各界有識者の提言に耳を傾けた。
中継で岸田文雄首相は、緊急事態条項や国会の機能維持などの必要性を強調。「衆参憲法審査会で議論が進んでおり、主権者である国民の議論も高めていきたい」と述べた。
参加者らは、緊急時や安全保障上の危機を突破するために憲法改正が必要だとして、各党に参院選での議論と改憲への合意形成を求める声明を出した。日本会議鹿児島の高橋辰治専務理事(64)は「憲法改正を真剣に考えるきっかけにしてほしい」と話した。