歯周病はなぜ厄介なのか? 発症・重症化の仕組み、「逆向き」思考で解明 新治療法の開発に期待

2022/09/07 21:12
 歯周病の原因菌が腸で取り込まれ、その影響で活性化した別の細胞が血管やリンパ管を通って口の中に移動し症状を悪化させる仕組みを、福岡歯科大学口腔(こうくう)歯学部の田中芳彦教授(57)=免疫学・微生物学、鹿児島県出水市出身=らの研究グループが突き止めた。薬剤や整腸剤を活用した新しい予防・治療法の開発につながる、としている。

 米国科学誌「Cell Reports(セル・レポート)」に7日掲載された。

 歯周病は国内に約400万人の患者がいるとされ、動脈硬化や糖尿病のリスクを高めるといわれる。これまで歯周病原因菌を飲み込むと、さまざまな臓器や組織に炎症を起こすことが分かっていた。今回は、歯周病を発症・重症化させる「逆向き」の仕組みを世界に先駆けて明らかにした。

 研究では、マウスに人の歯周病原因菌を投与したところ、腸から取り込まれ腸内細菌と反応。その影響で活性化したヘルパーTと呼ばれる免疫細胞が歯肉に移動し、歯周病を発症・重症化した。逆に腸内細菌のいないマウスでは、ヘルパーT細胞が活性化せず歯周病も発症しなかった。さらに特定の抗生物質もヘルパーT細胞を活性化し、歯周病を悪化させることが確認された。

 田中教授は「口の中の衛生管理は全身の健康につながる。研究が鹿児島をはじめ全国で歯周病に悩む人の役に立てば」と語った。

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