全国和牛能力共進会 鹿児島は52年ぶり2度目の開催 和牛改良、半世紀で変遷 消費者ニーズ意識、今大会は「高付加価値化」が主題

2022/10/06 09:45
1970年に鹿児島市で開かれた第2回全国和牛能力共進会会場(全国和牛登録協会鹿児島県支部提供)
1970年に鹿児島市で開かれた第2回全国和牛能力共進会会場(全国和牛登録協会鹿児島県支部提供)
 全国和牛能力共進会(全共)は和牛改良の道筋を示してきた。鹿児島での開催は1970年の第2回大会以来、52年ぶり2度目となる。当時、農耕用からの転換期にあった和牛は今や国際商材に成長。今大会は食材としての付加価値をより高めることが主題となる。時代とともに求められる和牛も変わっている。

 前回は、鹿児島市の与次郎ケ浜の埋め立て地に特設会場が造られ、32府県から220頭が集まった。大会テーマは「日本独特の肉用種を完成させよう」。主に役用とされてきた和牛を、飼育しやすく経済性に優れた日本独自の肉専用種に改良することを目指した。

 県勢は「若齢肥育群」に出品した3頭が内閣総理大臣賞を獲得した。

 全共出品牛の輸送を長く手掛ける牧迫運輸(鹿児島市)の新牛込正俊常務(71)は、父・政治さんが同群に牛を出品。学生だった自らも、審査場内の整理係という形で全共に関わった。「近くですばらしい牛を見られて、いい勉強をさせてもらった」と振り返る。

 現在では霜降り(サシ)の量を重視した改良は一定の水準に達し、最高等級のA5が大半を占める。海外からの評価も高い。新牛込さんは「半世紀前とは隔世の感がある」と話す。

 次の改良目標はおいしさを示す「脂肪の質」。審査ポイントにも変更が加えられ、遺伝的多様性の確保や生産性向上のみならず、食味の指標確立も重点に据える。

 今大会は「和牛新時代 地域かがやく和牛力」をテーマに掲げる。コストパフォーマンスがよく、消費者のニーズに合った新時代の和牛はどのようなものか。41道府県が、次の5年に向け、理想となる牛の姿を探る。

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